【観国之光 231】自然災害対応 訪日客の安全確保も 本社論説委員 内井高弘

  • 2018年11月1日

多くの外国人観光客が訪れる東京・浅草。地震がいつ起こってもおかしくないと言われるが、その時、外国人対応は

 日本政府観光局(JNTO)によると、9月の訪日客数は前年同月比5.3%減の約216万人となり、5年8カ月ぶりに減少した。台風21号や北海道胆振東部地震など自然災害の影響とみられる。

 順調に推移してきた訪日客だが、改めて水物であることが分かる。政治や社会情勢などに大きく左右され、いったん事が起きると勢いが失せるから怖い。

 また、自然災害の影響は新たな課題を突き付けた。外国人に災害情報がうまく伝わらないばかりか、避難先などの防災情報も届かず、結果、孤立させてしまうケースも発生した。

 言葉が満足に通じない異国で自然災害にあった時の不安、不便さはいかばかりか。自分が外国で同じような状況に置かれたら途方に暮れてしまうに違いない。

 胆振東部地震の時、札幌市の公園には行き場を失った外国人の姿がテレビのニュースで流れた。台風21号で被害を受けた関西国際空港でも戸惑う外国人の姿がみられた。

 駅などの案内は日本語と英語に限られる場合が多く、英語ができない外国人は何が起きているのか分からない。災害や交通などに関する情報の多言語化は早急に進める必要がある。

 サーベイリサーチセンターが訪日客を対象に実施した調査によると、災害発生時に希望する対応は「スマートフォン(スマホ)などで災害、交通、避難情報の提供を多言語でしてほしい」との答えが4割を超え、「母国語のマニュアルを配布してほしい」も4割弱あった。

 スマホで旅先の情報を集める外国人は多いが、問題はスマホの電池が切れた時にどうするかだ。ターミナル駅や主要空港、観光案内所などでは十分な非常用電源を確保しておくべきだ。日本人旅行者にとっても便利だ。

 政府の観光戦略実行推進会議は9月下旬、「非常時の外国人旅行者の安全・安心確保のための緊急対策」を決めた。

 いつでもどこでもつながる体制の確立、災害発生時の鉄道・空港における情報提供が柱で、JNTOコールセンターの365日、24時間の多言語対応体制の確立などに取り組む。

 このほか、外国人の受け入れが可能な避難所の整備も必要だ。やるべきことはたくさんある。

 観光先進国を目指す日本にとって、旅行中の外国人が右往左往する事態を放置していてはいけない。情報は瞬く間に拡散する。日本の災害情報体制の不備が口コミで広がり、「行くのをやめよう」と思われるのは大きな痛手だ。東日本大震災など過去の教訓を生かし、十分な手立てを講じてほしい。
  

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