【観国之光 221】記録的猛暑 夏の旅行に微妙な影 本社論説委員 内井高弘


猛暑でイベント中止を余儀なくされる事態も。観光業にとっても酷暑は痛手だ(京都の祇園祭)

 猛暑、酷暑、真夏日、熱帯夜…耳にするだけでうんざりする言葉を聞かない日がない今年の夏だ。記録的な猛暑が続き、最高気温が40度を超える地域も出ている。23日には、埼玉県熊谷市で気温が41.1度を記録、日本歴代最高を5年ぶりに更新した。

 熱中症で亡くなったり、救急車で搬送されるケースも後を絶たず、こまめな水分補強や冷房を利用した室温管理が欠かせない。

 「今年の熱波は未体験ゾーン。危機的状況にある」―7月20日、日本救急医学会は熱中症に関する初の緊急提言を発表したが、同学会の関係者はこんな言葉を口にする。それほど、今年の夏は異常気象なのだ。

 こう暑いと「出かけるのも億劫」と考える人が増えそうで、夏の旅行シーズンに微妙な影を落としそうだ。

 京都の夏の風物詩、祇園祭。7月24日に予定されていた花傘巡行が中止になった。酷暑による参列者の体調を考慮したもので、巡行中止は前日の雨の影響で準備できなかった2003年以来という。浴衣姿の女性2人組は、「楽しみにしていたけど、この暑さなら仕方がない」と納得の様子で話していた。

 22日、最高気温が37.6度を記録した埼玉県所沢市。西武園ゆうえんちでは人気のアトラクション、大観覧車(地上62メートル)が動かなかった。ゴンドラの中が40度を超えたためで、「7月に中止になるのは異例」という。

 群馬県伊勢崎市の華蔵寺公園遊園地でも、遊具の一部が熱くなり利用を一時中止した。

 屋外施設は暑さの影響を受けやすい。徳島市のとくしま動物園北島建設の森では、15日の来園者が540人で、昨年と比べ330人も減ったとか。厳しい暑さの影響とみている。

 熱中症対策として、日よけ用のテントやミスト噴霧装置を設置するなどしているところもあるが、なかなか思うような効果は出ていないようだ。

 暑いのがマイナスばかりとは限らない。エアコンが売れ、冷たい飲み物なども売れる。プラスマイナスあるが、気温が1度上がると家計消費支出を0.5%(2884億円)押し上げる効果もあるとの試算もある。

 どうせ暑いのなら、温泉に入って汗を流し、冷房の効いた部屋でゆっくり休むのもいい。気分転換、サッパリすること間違いなし。

 気象庁によると、この暑さは8月上旬にかけて続く見込み。以降、暑さは少し収まる気配だが、下旬から高気圧が強まり、猛暑が再来するとの見方もある。暑さを逆手に取ったサービスは何かないものか、ウ~ン、暑さで頭が働かない…。


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