【観光立国・その夢と現実 13】特別地方消費税撤廃運動6 小原健史

  • 2021年4月18日

 前回のこのコラムでは、特消税撤廃を支援していただいた国会議員の先生方のことを記載した。

 今回は、その逆で、対立してきた政治家の方々のことに触れたいが、失礼でせんえつな表現があるとすればお許しいただきたい。

 特消税撤廃の反対は〔存続〕であるが、これを声高に叫んでおられたのは旧自治省出身の先生方であった。また、自治省のスタッフの運動も熱心で、われわれが〔特消税撤廃!〕とのチラシを持って議員会館の各議員室を回っていると、すぐその後から「自治省です、特消税存続、お願いします!」と打ち消して回る、まさにイタチごっこであった。私自身も「〇〇先生、旅館業です、特消税撤廃よろしくお願いします!」と訴えると、その議員は急いでいたのであろう、議員室を出ながら「旅館のあれだろう、存続だな!わかった!」と言うから、カチンときた私はエレベーターの所まで追いかけて「先生、間違っちゃだめだ、撤廃です、撤廃!」と言っている最中、ドアが閉まるというコントのような場面も何度かあった。

 何万人もの負託を受けた国会議員にわれわれ旅館業界の悲願である〔特消税撤廃〕を理解し支持してもらうことは一筋縄のことではない。お願いばかりではなく政治的な駆け引きも重要だ。私の父・小原嘉登次は佐賀県議会議長を26年間にわたって独占した地方政治のドンのような人物であった。私は若い頃はその秘書も兼務して、父の政治家としての〔駆け引き〕〔人心掌握術〕をつぶさに見聞きしてきたので、その奥義も特消税撤廃に利用した。

 〈ケース1〉

 対策本部では、特消税撤廃の会議や大会をいろいろと企画したが、この運動が最高に盛り上がった時点で千人を集めて決起大会を実施した。それも〔与野党の国会議員を集めての決起大会〕である。なぜ、与野党の議員を集めたか? それは〔小選挙区制度の第1回目の総選挙を目前に控えて、初めての小選挙区選挙に不安を抱える議員の心理を突いた。与党と野党のどちらが特消税撤廃運動に協力をするか?〕をはかりにかけた。

 早速、自民党の若手二世議員から全旅連に圧力がきた。当時の専務理事は経産省のOBだったが、その代議士の圧力〔なぜ、旅館業は決起大会に野党も呼ぶのか? 野党への招待状は回収せよ!〕との雷が落ちた。 私は負けない。直接、その代議士の事務所に電話した。本人はいなかったので仕方なく政策秘書と会話したが、秘書いわく「うちの先生が怒っている。旅館業はなぜ、決起大会に野党も呼ぶのか?」と。私は言う。「これは、撤廃運動の一環の作戦だ。今回の特消税撤廃は本気だ。ここに協力してくれた議員に、それぞれの地元の旅館ホテルは投票する。党派は関係ない!」。

 秘書が食い下がる。「そんなことしたら、キミ大変なことになるよ、わかっているの?」。私がほえる。「あんたの先生に言いなさい。これ以上、撤廃運動にガタガタ言うと、あんたのオヤジを本当に落選さすぞ! 地元の駅前に3日以内に全旅連の青年部やOBを300名集めて、○○候補を落とす会を開催するがそれでもいいか! オヤジに伝えろ!」。

 最後は怒号である。そこまで言って電話を投げつけて切った。その後、その議員の事務所からの電話はピッタと止んだ。

 その先生は、安倍政権、菅政権で与党の中核に君臨されている。

 われわれ旅館業の特消税対策本部は〔特消税撤廃〕のためには、殺人と強盗以外はなんでもやる!と決めていて、私はそれを実践した。

 〈ケース2〉

 特消税撤廃の最後の攻防、それは、当時の加藤紘一自民党幹事長との談判だった。次回に記す。

 (佐賀嬉野バリアフリーツアーセンター会長)

 
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