【観光立国・その夢と現実 10】特別地方消費税撤廃運動3 小原健史

  • 2021年1月13日

 今回のコラムは、前回から引き続き特別地方消費税撤廃運動の、特に〔消費者対策班〕について述べる。

 対策本部の情報収集と博報堂の世論調査によれば、「特別地方消費税」というものは、旅館業界にとっては不当な差別的税であったが、一般消費者にはほとんど認知されていないことが改めて浮き彫りになった。

 よって、われわれは特消税の撤廃運動を始めると同時に、まず、この不当な特消税の存在を世に知らしめることに力を注いだ。

 特消税の不当性とは、〔平成元年に一般消費税が導入された際に、従来、全ての物品やサービスに課せられていた物品税はそのほとんどが廃止されたのに、なぜ、宿泊と飲食業界に課せられていた“料飲税”だけが名称を“特別地方消費税”と変えて残されのか!〕。また、〔新たに税率=3%で一般消費税と併せて二重課税されたのが不当〕であり、誰が考えても不公平で理不尽な特消税であった。実は、この〔不公平税制の論理〕が税制自体を決める国会議員の良心に深く食い込み、最終的にわれわれはこの闘いに勝利することができたのであるが…。

 広報戦略を委託した博報堂との作戦会議では、特消税撤廃を広報するには大衆に親しみがありインパクトのある人物の力を借りる必要があるということになった。その人物を誰にするかについて侃々諤々(かんかんがくがく)大いなる議論になったが、結論としては安定した人気を誇る渥美清の“フーテンの寅さん”に決定した。いわく「特消税? それをとっちゃおしまいよ!」。

 このキャッチコピーは、われわれの作戦にピッタとはまり、寅さんの漫画の大型ポスターも完成した。博報堂から映画会社と山田洋二監督に丁重にお願いをし、許可を得たのは言うまでもない。

 次に“逆さFOCUS”であるが、これは新潮社が出版して当時流行した写真週刊誌の名称の“F”の字を左右逆にして“逆さFOCUS”と読んだのである。どのページも特消税撤廃に関する記事ばかりで内心(よくもまあこれだけの素材と記事を集めたものだ!)と私は舌を巻いた。

 また、われわれ対策本部の広告記事として「特消税撤廃に賛成する国会議員を応援します!」と題して、旅館3団体で広告を掲載した。それを見て「自分の名前がない!」と抗議が来たこともあったが、事前に“特消税撤廃に賛成か反対か?”の〇×式のアンケートの証拠書類を見ながら「ああ、〇〇先生、あなたはわれわれ対策本部のアンケートへの返信がなかったので先生のお名前の記載はありません、悪しからず!」とピシャリと対応する場面もあった。内容によっては国会議員とも渡り合うという貴重な体験をして、対策本部のメンバーは度胸もつきたくましくなっていった。私からは“特消税撤廃”の気合は「相手が誰であれ絶対に負けないように、引かないように毅然としよう!」と徹底を図った。

 この“逆さFOCUS”は20万部を2回で合計40万部作成し、それを全国の旅館ホテルの全客室に配布したが、その記事を読まれたお客さまは、初めてその税金の存在を知ることになり、特消税の不当性が旅館ホテルのお客さまから浸透していくのに十分な効果があった。

 また“逆さFOCUS”を見た旅館ホテルの経営者の家族や従業員は、いつもは「若旦那は、青年部活動や撤廃運動などと訳の分からんことを言って、出かけることばかりだが、こんなすごいことに挑戦して闘ってるのか!」と身内の理解の浸透にも役立った。

 また、今考えても対策本部のメンバーや当時の全旅連青年部の諸君は心身ともに本当に頑張っていただいた。感謝してもし尽くしきれない思いがある。

 (佐賀嬉野バリアフリーツアーセンター会長)

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