【観光業界人インタビュー】JTB社長 髙橋 広行氏

  • 2014年8月23日

JTB社長 髙橋 広行氏

JTB新社長のかじ取り

国内旅行拡大のカギは インバウンド対応強化

──6月末に就任して1カ月半。改めて抱負を。

 「JTBは、長期的な視点に立って、アジアの中で圧倒的ナンバーワンポジションを確立する『2020年ビジョン』という経営計画を推進している。2020年に取扱額で2兆円、営業利益では400億円の目標を掲げている。私は策定段階から深くかかわっており、この計画を完遂することが最大の使命だ」

──20年には東京オリンピック・パラリンピックも開かれる。

 「まさに天佑だ。JTBグループとしても積極的にかかわって、日本の観光活性化や観光立国の実現に寄与したい。観光立国の起爆剤となるよう、東京だけに終わらせずに日本のオリンピック、パラリンピックにすることが大切だ」

 「そういった観点から言えば、責任は重いが非常にやりがいのある時に社長になった」

──国内旅行の市場環境をどうとらえている。

 「大きな転換期を迎えている。今後、二つの視点で見ていかなければいけない。日本人の国内旅行マーケットは成熟化を迎えていて、人口が減っていくという前提条件もあるから、漸減傾向は避けられない。一方で、今後どんどん成長していくのが、訪日外国人による国内旅行マーケットだ。国内旅行マーケットは将来的に縮小していくという悲観的な見方があるが、訪日インバウンドのマーケットを入れれば、まだ十分成長の余地はある」

──国内旅行事業の現状の課題は。

 「仕入環境が大きく変化してきている。この変化をもたらしているのは訪日インバウンドだ。典型的な例で言えば、首都圏、大阪、京都などゴールデンルートの延長線上にあるホテルの宿泊手配はひっ迫しているという現実がある。宿泊だけでなく、貸切観光バスも厳しい時期がある。そうした仕入環境の変化にどう対応していくかは喫緊の課題だ」

──JTB国内旅行企画を4月に設立し、地域やチャネルごとに分かれていた仕入を一元化した。

 「スケールメリットを追求し、強力な仕入を実現する。大きな投資も可能になる。直近の例で言えば、USJとの特別契約によって、優先入場など他社との差別化を図り、今年7、8月の首都圏からのUSJ商品販売は昨年の5倍に伸びている。ホテルやバスなどがなかなか取れないときに、買い取りや販売保証などリスクテイク型の新しい仕入の在り方も検討していく」

──インバウンドについてはどう対応する。

 「これから、どんどん成長していく中で、十把一絡げには対応できない。国別のニーズにきちっとマーケティングして、商品展開をしていく。イスラム教徒の多いインドネシアなどの国のビザ要件緩和も期待され、特に大きな対応を求められるのがハラルだ」

 「国は2020年に2千万人を目指しているが、新規の旅行客だけでは当然無理な話。どうやってリピーターにするかも重要だ」

──インターネット販売への取り組みは。

 「まだインターネット販売は伸びる。投資もして強化していく。従来の『るるぶトラベル』に加えて、ダイナミックパッケージをさらに拡充する」

──旅館・ホテルとの関係についてどう考える。

 「大前提はウイン&ウインの関係だ。特にJTB協定旅館ホテル連盟の皆さんとの関係を強化していく」

 「今後大事になってくるのは、旅館・ホテルも我々もお互いに知恵を出しながら客室にどう付加価値を付けるか。付加価値のない素材の部分はインターネットで販売すればいいが、JTBは店頭、渉外をはじめとしたリアル営業も行っていて、そこでは付加価値のある商品を販売していくからだ。今、商品改革のキーワードは『価格から価値へ』で、価値を重視する方向性にある」

──そのほか旅館・ホテルと協力していくことは。

 「JTBは、地域にお客さまを呼び込むためのDMC(デスティネーション・マネージメント・カンパニー)戦略を進めている。成熟化する日本人の国内旅行マーケットには、通り一遍の今までの既存の観光資源だけでは対応できなくなっている。新しい観光資源を開発したり、コンテンツを作り上げたりすることを、地域で影響力を持っている旅館・ホテルと一緒になってやっていきたい。そうした取り組みにより、新たな団体需要の掘り起こしと外国人客の受け入れ拡大にもつなげていきたい」

【たかはし・ひろゆき】

JTB社長 髙橋 広行氏

 
 
 
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