【観光業界人インタビュー】農旅連会長 藤本武夫氏


農旅連会長 藤本武夫氏

農旅連のかじ取り

日垣前会長の路線踏襲 みのり会と連携強化を

──農協(JA)に対してどんな印象を。

 「元々は茨城の稲敷市出身で、実家が米を作っていたこともあり、農協は非常に身近な存在でとてもいい印象を持っている。また、農協観光は情があるというのか、アットホーム的な雰囲気があり、旅行業者と旅館の関係がビジネスライクではない点も気に入っている。他の旅連にも入っているが、役員を務めているのは農旅連だけだ。当館にとって農協観光はなくてならない存在。農協観光のファンだね」

──責任も重いですね。

 「固辞していたのだが、関東支部連合会の皆さんから『せっかくの機会だから引き受けるべきだ』と言われ、また農協観光の田辺豊社長自らが当館まで来てくださり、説得された(笑)。プレッシャーもあるが、やる以上は誠心誠意務めたい」

──農協観光は団体送客に実績がありますね。

 「旅行市場は個人・小グループ化しているといわれるが、農協観光の魅力はまさしく団体送客であり、会員の期待も大きい。宴会もやってくれ、土産もしっかりと買ってくれる。特に、平日に団体が入ってくれるのは旅館としてはとてもありがたい」

──今年度はどんな事業活動を。

 「基本的には日垣信三前会長が敷いた路線を踏襲する。内容は6月の総会で決まっており、それを着実に実行するだけ。例えば『地産地消・持参地消 こだわりの宿』は会員の関心も高く、参画施設も徐々に増えている。今まで以上に積極的に参画し、宿泊券の増売に努めていきたい。日垣前会長が作った会報『ゆいたび』も引き続き発行し、会社と会員の意志疎通に役立てたい」

──こだわりの宿はツアー・オブ・イヤー2009で国内旅行部門のグランプリを受賞しています。

 「地産地消はその地でとれたものをその場所でいただくもの。持参地消は該当する生産者向け企画で、宿泊者は自分で生産した食材を事前に旅館・ホテルへ送り、プロの料理人が調理した料理を味わえる企画だ。農協観光ならではの宿泊プランといえる」

 「本部と支部連合会(北海道、東北、関東、中部、西日本、九州)、そして各県支部との連携をさらに密にしたい。それぞれ旅行を企画、実施しているが、東日本大震災を踏まえ、それらの旅行を被災地に持っていくことや、取り扱いクーポンの一部を義援金として寄付することなどを検討したい」

──農旅連会員は、10年前は約2800軒あったが、現在は1700軒ほどになっています。

 「数字だけを見ると確かに減っている。しかし、私もそうだが、農協観光のファンが1700軒もあるととらえたい。この先、会員が大きく増えるという状況にはならないだろう。減らないよう努力することが先決だ。会員の理解を求めていく」

──田辺社長から何か話はありましたか。

 「『思ったことは何でも口に出してほしい。忌き憚たんのない意見を出し合い、互いの発展のために頑張ろう』と言ってくれた。田辺社長になってから会社が旅連を見る目も変わったように感じる。旅連の会議に役員クラスが顔を出すようになり、会社の立場、今何をやろうとしているのか、旅連に何を求めているのか、率直に話すようになった。良い関係ができていると思う」

 「農協観光にはドライブインや運輸機関などで組織する『協力みのり会』があるが、こことの協力関係を強めたい。“車の両輪”という意識を持って、会員へのメリット還元、会社の発展につながればと思う」

──趣味は何ですか。

 「釣りとゴルフ。釣りはヘラブナ釣りが好きだね。戸倉上山田温泉のすぐ側には千曲川が流れており、鮎釣りもまたいい。釣果はなくても糸を垂らしていれば満足する。ゴルフのスコアは90をやっと切る程度。あまり聞いて欲しくなかった(笑)。好きな選手はゲーリー・プレーヤーで、渋めの選手が好きだね」

【ふじもと・たけお】
農旅連関東支部連合会長を兼務。長野・戸倉上山田温泉でホテル圓山荘、西乃館を経営するほか、姉妹館として野沢温泉に朝日屋旅館、上諏訪温泉に渋の湯がある。茨城県出身、60歳。

農旅連会長 藤本武夫氏

 
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