
森昌文事務次官
災害の復旧、検証に注力
国土交通省の森昌文事務次官が11日、交通運輸記者会の共同インタビューに応じた。今年7月31日に現職に就任。相次ぐ自然災害に伴う各地のインフラ被害については、早期復旧を目指すとともに、原因の検証や今後の対策を検討していく姿勢を強調した。観光施策では、創設された国際観光旅客税などを活用し、日本の観光のさらなる飛躍に意欲を示した。
大阪府北部地震、西日本豪雨、台風21号、北海道胆振東部地震と災害が続いたことについて、「道路、港湾、空港、鉄道など、国民の生活に直結するようなインフラが被害を受けた。これに対する一日も早い復旧を目指していきたい。ハードのインフラの復旧に併せて鉄道の運行、関西空港のエアラインの運航などの機能を一日も早く取り戻すことが私たちの使命だ」と述べた。
被害からの復旧にとどまらず、原因や対策の在り方の検証も重視した。「災害に伴う問題がなぜ起こったのか、回避するには何をすべきだったのか、振り返りをしなければならない。その結果をフィードバックして対応していきたい」。
観光分野では、2019年度観光庁予算の概算要求に、国際観光旅客税の充当事業予算として480億円を計上。今後、具体的な使途が検討され、関係省庁にも移し替えて執行される。「観光施策を関係省庁で議論する場があるので、そこで税をどのような形で使うのかを含めて新しいハイレベルな施策を議論してもらいたい。日本の観光がさらに飛躍するためには、この1年、2年が勝負と考えているので、関係者のお力添えをお願いしたい」。
国際観光旅客税の充当事業のテーマの一つとして、「いかにインバウンドの方々にストレスを与えない旅行環境を作り上げていくか」を挙げた。スムーズな出入国手続きなどCIQ態勢の整備、国立公園や文化財の魅力向上など、関係省庁を挙げた観光施策の強化に期待した。
森昌文事務次官
森 昌文氏(もり・まさふみ)東京大学工学部卒。1981年4月、建設省(現・国土交通省)入り。国交省大臣官房技術審議官、近畿地方整備局長、道路局長、技監などを経て、18年7月31日から現職。奈良県出身。59歳。
【向野悟】