【観光復活の論点】持続可能な観光 国連世界観光機関(UNWTO)駐日事務所代表 本保芳明氏 


本保氏

住民にとっての幸せな「観光」か  政策の一つでなく、全ての基本

 ――SDGsなどを踏まえ、「持続可能な観光」への関心が高まっている。持続可能な観光は、国連世界観光機関(UNWTO)のテーマの一つでもあるが、日本の観光産業の意識や取り組みは世界に比べてどうか。

 「持続可能な」という言葉自体あまり日本語的ではなく、海外から導入した言葉、概念なので、日本全体としては当初は理解が不十分で感度も低かった。持続可能な観光への取り組みは、1987年の国連ブルントラント報告に始まり、2004年にはUNWTOが「観光地のための持続可能な観光指標・ガイドブック」を策定した。欧州などに比べると、日本はだいぶ遅れていたが、観光庁が18年に「持続可能な観光推進本部」を設置し、20年に「日本版持続可能な観光ガイドライン」(JSTS―D)を定めるなど取り組みが強化され、自治体なども持続可能な観光を推進する施策を打ち出すようになった。これまでの遅れを取り戻してきたが、さらに成果あるものにしていくには、理念化や体系的な取り組みの推進が欠かせない。

 ――持続可能な観光をどう理念化、体系化すべきか。

 観光政策というのは、その時の状況に応じてさまざまな取り組みが必要になるが、私自身は、持続可能な観光というのは観光政策の一つではなく、観光政策の基本だと考えている。持続可能な観光という基本的な思想、姿勢があって、その上にさまざまな観光政策が成り立っていく。持続可能な観光はお飾りではなく、その基本がなければ、何をやっても正しくは進まないという性質のものだ。国や自治体、あるいはDMOにおいても、振興計画やビジョンに持続可能な観光を位置付けたり、GSTC(グローバル・サステナブル・ツーリズム協議会)の国際基準に基づいた観光施策を進めたりする動きがみられるようになったが、そうした体系化をさらに進めるべきだ。

 ――政府は新たな観光立国推進基本計画を策定するが、持続可能な観光をどのように位置付けるべきか。

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