【観光学へのナビゲーター 5】ユニバーサルツーリズムの担い手 日本国際観光学会会員・JTBトラベル&ホテルカレッジ主任講師 竹内敏彦

  • 2019年7月23日

竹内敏彦氏

 ユニバーサルツーリズムは、全ての人が楽しめるよう創られた旅行である。四人に一人が高齢者という超高齢社会を迎えた我が国において、加齢に伴う身体機能の低下を含めた身体障がいへの対応が急務であることは疑いようがない。ユニバーサルツーリズムを促進していくことは国の命題である。高齢者や障がい者に配慮された地域は住民にとっても住みやすい地域となるためである。行政、民間企業、NPOなどがそれぞれに、バリアフリー関連の活動を展開しているなか、その関係性の具体的な構築方法が課題であるとされている。つまり、それらのサービスをどのように組み合わせるかという課題である。観光行動の一連の流れは、点から線へ、そして面へアクセシビリティ(アクセスのしやすさ・利用しやすさ)である必要がある。その一連の流れを組み合わせることができるのが、事業パートナーである関係機関をコラボレーションし、お客様にワンストップサービスを事業として提供できる旅行会社であろう。旅行会社は、旅行素材である事業パートナーと、世の中とをコラボレーションすることによって、自己の計算において、新たな商品価値を創造できるのである。旅行会社が提供する商品価値とは、「お客様にとって」と「事業パートナーにとって」さらに「世の中にとって」の付加価値である。

 海外での先行研究により、障がい者は、「健常者よりも一日あたりの旅行にかける支出額が大きい」「気に入るとリピーターになる」「旅行期間が長い」「介護人や家族が同行し一人では旅行をしない」「オフシーズンを選択するケースが多い」という経験則ではそうであろうと思われるユニバーサルツーリズムの市場特性や収益性が実証されている。しかしながら我が国では、事故などのリスクが大きい等の理由で旅行会社のビジネス的モチベーションは上がらないのが現状であろう。この意識を払拭させるためには、目の前のお客様のためにまず取組むという精神もさることながら、担当者の心のバリアを取り去ることが重要である。そのための理論・教育、つまりある種の資格制度が必要であると考える。旅の目的は一人一人異なるものである。旅は手段であり、その目的ではない。人はそれぞれ、その目的を適えるために旅にでる。一人一人の旅の目的を適えることが、ユニバーサルデザイン化された社会の実現につながるのである。その実現のためには、旅行会社の事業による事例の積み重ねとプロモーション活動の継続、その実践に他ならない。


竹内敏彦氏

 
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