【観光の学校特集】東洋大学

  • 2022年6月27日

国際観光学部学部長の中挾教授

国際観光学部は就職率1位

 東洋大学の観光学科は、1回目の東京五輪が開催された1964年の前年、日本で初めて高等教育機関(当時は短期大学部)として文部科学省に認可された観光系の学科。日本で最も長い歴史を持ち、観光分野の教育研究に多くの実績がある。2001年に4年制の「国際観光学科」へと発展、17年には「国際観光学部」としてさらに大きく飛躍し、18年には大学院に国際観光学研究科国際観光学専攻(博士前期課程、博士後期課程)を開設した。

 東洋大学が観光学科を設立した1963年は、観光基本法が制定され、基本的な観光産業の基盤が日本に整った年であり、その後、2007年に観光立国推進基本法が施行された。

 日本は、インバウンド振興をはじめとして、観光を基幹産業として成長させていくことを決めた。これを受け、東洋大学国際観光学部は、この国の基幹産業の一つである観光政策やツーリズム、ホスピタリティなど、さまざまな面から支える人材育成をミッションとしている。

 カリキュラムでは、1年次に観光学に関する基礎的な理論を身に付けた上で、2年次からより専門的な二つの学問領域(観光政策・ツーリズム系領域、ホスピタリティ系領域)に分かれる。

 観光政策・ツーリズム系領域では、国内、海外の両方の視点に立ち、観光に関連する産業や行政について学ぶ。

 観光産業は、近年、急速に変化。ホテルや航空会社、旅行会社など観光ビジネスだけではなく、観光に力を入れる官公庁、需要が高まっているイベント・コンベンション業界、インバウンド消費に代表される流通業界やメーカー、予約や情報提供に必要なICT関連、地域活性化に関連する金融や不動産業界など、幅広い分野で観光の知識とスキルが求められている。同領域では、それらに共通して求められる「企画・立案、変革する力」を身に付ける。社会を見る力、それを分析し、解決する力を養い、論理的、科学的な思考とともに、国内外の文化や自然などの教養も学んでいる。

 同領域で学んだ学生の進路としては、旅行会社(企画、コンサルティングセールス)、鉄道・航空会社(企画、セールス)、イベント運営会社、空港、イベント施設、公務員、銀行、保険、DMOなどを想定している。

 ホスピタリティ系領域では、ホスピタリティ産業を中心としたさまざまな観光事業の現状を把握し、そこから理論を身に付けていくことを目指す。

 具体的には、ホテル、料飲サービス(飲食業)、ブライダル、航空会社のキャビンアテンダントやグランドスタッフ、エンターテインメント、小売業など各職種に関する科目を設置し、顧客との接点が生じるビジネスを学ぶ。同時に経営戦略論や組織論、マーケティング論、会計論、ファイナンス論など、産業を横断するマネジメント科目も学習。実地研修、演習、インターンシップなどの実習も幅広く行い、実際に体験して深く理解することにも力を入れている。

◇  ◇  ◇

 同学部学部長の中挾知延子教授に話を聞いた。

 ――コロナ禍が落ち着き、観光業界は活況を取り戻しつつある。ビジネス社会全般で見ても、対面での会合が戻りつつある。大学の授業はどうか。

 「本学ではこの4月から対面式での授業が再開した。国際観光学部は9割以上が対面だ。緊急事態宣言下では大半の授業をオンラインとしていたが、特にゼミでは対面コミュニケーションが不可欠なことから、3週間に1回、2週間に1回と対面を増やしていき、最終的に、ゼミは可能であれば対面、その他の授業はオンラインとした。それが今春からは全て対面とした」

 ――観光業には対人コミュニケーション力が欠かせない。

 「オンラインではお互いの『質感』が伝わらない。2次元の画面を通じてでは、真のコミュニケーションは難しい」

 ――先生は「観光とコミュニケーション」「観光イノベーションテクノロジー」「情報社会システム論」などの科目を担当されているが、どのような内容か。

 「元々は理科系の人間で、微積分や確率を使ったモデリングを行っていた。ストラスブール大学地理学部に研究員として在籍していた時、多様な人々が生きるフランス社会に接し、コミュニケーションネットワークの分析に興味を持った。人と人との関わりや文化という最も人間臭いアナログなものを、情報科学やネットワーク科学などのアプローチで説明する研究をしている。訪れるゲストと彼らを受け入れるホストという人間同士の多文化コミュニケーションとして観光をとらえ、そこで繰り広げられている文化ツーリズムや、訪れた地域に住む人々と交流をして相互理解を深める連帯ツーリズムについてどのようにしたら持続可能にできるかを考察し、教授している」

 ――コロナ禍中での観光業界への就職状況はどうか。

 「コロナ前と比較すると観光業界への就職は、業界全体として採用を控えた影響もあり、昨年3月の卒業生で9割減、今年3月は3~4割減と少なくなっている。しかし、このような状況であっても国際観光学部の就職率は東洋大学の中で1番高い。観光業界以外でも観光に携われることに目を向け、公務員や地域振興に関わる業種で学部での学びを生かしている」

 ――コロナ禍の影響による学部のカリキュラム変更などは。

 「カリキュラムの変更は行っていない。持続可能な観光のあり方を考察し、学生とコミュニケーションをとりながら実学に重きを置いた学びが特色だ。今後も社会から求められる人材を輩出していきたい」

 

国際観光学部学部長の中挾教授

東洋大学白水キャンパス8号館

国際観光学部国際観光学科 | Toyo University – 東洋大学


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