【第13回タップアワード学生賞】旅館業の「共創」という新しい役割 東京工業大学3年 角田貴史


角田氏

第13回タップアワードとは

旅館業の「共創」という新しい役割

要旨

 観光業は地方創生の大きな柱であった。しかし、新型コロナウイルス感染症が拡大し外出自粛や入国拒否の政策がとられ観光業は大きなダメージを負った。また、感染拡大前の状況に戻るには数年を必要とし、地方創生というものを再度考え直さなければならない。旅館業は従来の快適な施設・サービスの提供という役割だけではなく、地域を活性化する拠点の役割を果たせるのではないか。ホテル・旅館内にフュチャーセンターを設置し、それを通して都市部の人と地方在住者を繋ぐことで、新たな付加価値を生み出す産業やその土地特有の課題を共同で解決するきっかけを提供することができるのではないか。それらは、短期的には副業者の増加によるリピーター獲得、長期的には地域の魅力の創出というメリットが旅館業にはあるのではないか。旅館業は、これから「つ・く・り・だ・す」という役割を果たし、地方創生の玄関口としての役割も果たすべきである。(392文字)

 

所属 国立大学東京工業大学 生命理工学院 学部三年

氏名 角田 貴史(つのだ たかし)

 

はじめに

 地方創生と旅館業は切っても切れない関係である。どちらかが欠けても上手くいかない自転車の両輪のような存在である。しかし、バブル崩壊後、地場産業はコスト削減から競争力が低下、また大都市への人の流出による後継者不足で存続の危機を迎えている。地域に根差した技術や伝統は重要な観光資源であると同時に、雇用を生むものであり後世に継承し守る必要がある。一方で、新たな産業の創出や、既存の産業をさらに飛躍・展開させていくことは新たな観光資源になるため、これらも同様に重要なことである。

 本論文では地方創生の現状の問題について指摘し、地方創生においてホテル・旅館の役割について考えていく。

 

地方創生への問題意識

 地方創生の背景には、急激な人口減少と高齢化が挙げられる。2014年に閣議決定された「まち・ひと・しごと創生 「長期ビジョン」」では、国民希望出生率1.8%を達成すべく、出生率の低い一極集中する東京から地方に人を移動させることが挙げられている。東京圏への転入超過数の大半は若年層であり、2019 年は 15~19 歳(2万5千人)と 20~29 歳(10 万7千人)を合わせて 13 万人を超えている。(1) 合計特殊出生率の最低が1.15(東京都)、最高が1.86(沖縄県)である。地方に行くにつれて出生率が高い傾向があり、特に四国、九州地方の出生率が高い。この少子化と地方の転出超過に伴い、日本創成会議は2014年に「2010年から2040年にかけて、20 ~39歳の若年女性人口が 5 割以下に減少する市区町村」いわゆる消滅可能都市に国の市区町村1,799のうち、半数近い896が当てはまると指摘している。地方の衰退に脚光が集まる中で、一方で、アンケート調査によると、東京圏在住者(20~59歳)の約半数が「地方暮らし」に関心を持っていること、地方圏出身者の方が東京圏出身者よりも関心が高いこと、全体的に若者の方が関心を持っていることなどが判明している。(2)若者の地方暮らしへの関心が高いにも関わらずなかなか実現しかねているのにはいくつか原因がある。男女共通で「仕事がないこと」等が原因である。(2)つまり、仕事の創出は地方創生の喫緊の課題であり、その柱に選ばれたのが「観光」であった。実際、官民挙げてのインバウンド呼び込み施策や、円安やLCCの普及などによって2011年以降2019年までは訪日外国人旅行者数は増加し、2018年には3000万人を超えた。しかし、2020年初頭にCovid-19が世界中で蔓延し入国管理の厳格化などにより4月、5月の入国者は数千人程度であった。また、緊急事態宣言や自治体独自の来訪を控える要請などで国内旅行者数は低迷したままである。宿泊施設の稼働率は大幅に減少し、2020年4月の稼働率は前年比83.5%減であった。2020年夏には国土交通省の観光庁が旅行代金の最大50%負担する「Go To トラベルキャンペーン」が始まり、場所によっては去年並みとはいかないが稼働率が上昇したホテル・旅館も多いと聞くが、インバウンドが見込めない中でコロナ前にもどるまでには数年はかかるだろうと考える専門家もいる。まさに観光業界は暗雲低迷している。同様に地方創生の柱である観光の低迷は地方創生に大きな影響を与える。再度、今後数年の地方創生の新しい枠組みを考え直すことは喫緊の課題であると考える。

 

ホテル・旅館の新しい役割

 旅館業の役割とは一般的に考えれば、安心・安全で快適な施設・サービスの提供である。普段の生活とは異なる非日常空間で、景色がきれいな大浴場やその土地の郷土料理、マッサージなどのサービスを受けることこそホテル・旅館の醍醐味である。しかし、旅館業の担う役割はそれだけなのだろうか。私は旅館業は「地域の共創の場」でもあると定義したい。「共創」とは、多様な立場の人たちと対話しながら、新しい価値を「共」に「創」り上げていくことである。具体的に、ホテル・旅館の中にフューチャーセンター(以下FC)設置し、そこで様々なバックグラウンドを持つ訪問者と地元の住人の対話を生むセッションを開き、地元の課題を解決し新たなアイデア、ビジネス、人のつながりを創出する。これが地域の魅力創出へとつながり、ホテル・旅館の繁栄につながるのではないか。本稿では、ホテル・旅館のFCを中心とした地域の活性化を図る新しいビジネス・地方創生モデルを提案したい。

 

概要

(1)FCとは?

 そもそも、FCとはなんであろうか。一概に、これと決めることはできないが「様々なバックグラウンドを持つ人が集まり」「未来思考で対話し」「未来の知的資本を生み出す場」であると考えることができる。(3) 知的資本とは人材、技術、組織力、顧客とのネットワーク、ブランド等の目に見えない資産のことで、企業の競争力の源泉となるものである。(4)つまり、FCとは人と人のつながり、新しいアイデア、人の成長を創出する場であると考えることができる。もともと、FCは北欧の知的資本経営の中から生まれたものである。北欧の企業は世界のグローバル展開する大企業のような資源や資本を保持していないため、新しいものを生み出すことのできる人を前面に押し出すことで海外からの投資を集めようとした。長期的な繁栄のためには、社員全員が未来志向で長期的な視点を持つ必要があり、それを実現するためにFCが設けられたのである。欧州では公共セクターを中心にFCが設置されているが、日本では企業が中心となって取り入れている場合が多い。これは日本の企業の縦割り社会の改善の一つとして行われている。企業が大きくなると部門間でのコミュニケーションが不足する傾向がある。部門で解決できない問題をFCに持ち込んで、様々な部署の人や外部の人を交えて話し合うことで、今まで考えもつかない独創的な方法を見つけることができれば新たな付加価値を見つけることができる。企業が積極的にFCを置く理由はここにあるのだ。

 

(2)なぜ、フュチャーセンターなのか?

 まず、なぜホテル・旅館主体のFCの設置を提案するのか二つの点から考えていきたい。

  • ホテル・旅館の魅力とFCの親和性の高さ
  • 都市部と地方を結び付ける役割

 

  • ホテル・旅館の魅力とFCの親和性の高さ

 FCと旅館・ホテルの親和性は高いと考える。その理由は主に2つある。

  • 旅館・ホテルには多様な人が集まる点
  • FCに必要な要素が旅館・ホテルに存在する点

 

 『1』旅館・ホテルには多様な人が集まるについてだが、言うまでもなくホテルには様々なバックグラウンドを持つ人が集まる。FCには、プログラマーや経営者、営業、機械エンジニア、バイオサイエンティスト、飲食、アパレルなど様々な職種で働く人が集まる場である。コロナ下で政府が仕事と休暇を組み合わせた新しいライフスタイルであるワーケーションを推進している。仕事の一環として、FCへの参加が認められれば多様な人材を集めるのにはプラスに働くだろう。また、ワーケーションは仕事と休暇を融合させたものであり、休暇だけを楽しみに来訪した観光客に比べてFCへの参加への心理的ハードルは低いのではないか。

 『2』FCに必要な要素が旅館・ホテルに存在するについてだが、よりよいFCを築き上げるうえで重要な点に「非日常の演出」と「おもてなし」の二点を上げることができる。非日常の演出とは普段、働いている環境とは全く異なる環境を用意することである。これは、日常の業務の延長線上の考え方をすることを防ぎ、より自由な思考を促進するためである。海外のFCでは宇宙船を模した部屋だったり、オープンでありながら隔離された空中空間(5)など奇想天外な部屋であったりする。旅は非日常を楽しむものであり、ホテル・旅館共に非日常空間の創出は十八番ではないか。企業などで開かれる講演会で使われる大会場ではなく、旅館の縁側や庭など通常では使いえないような環境の中で人が集まることができる。その土地由来の食べ物や飲み物も一緒に楽しんでもらうことも非日常の創造に役立つであろう。

 また、日本の観光業の最大の特徴でもある客に気遣いや心配りをする世界でも誇ることのできるおもてなしの精神は、FC参加者全員に期待以上の満足感や積極的な関与を感じさせることに貢献するはずである。議論の場において誰も孤立しておらず積極的な議論展開をする場を構築することがFC成立の必要条件である。

 

  • 都市部と地方を結び付ける役割

 地方の知識を外に放出することで新たな価値の創造につながることは以前から指摘されていた。中川は林業経営において都市部の新規就労者への知識の伝達によって様々な主体と林業者を繋ぐ架け橋としての意義を論じている。(6)また、宮口は実際に「異なる」ものの交流から新しい価値が生まれることを指摘している。(7)つまり多様な主体がかかわることによって創造が起こることを理解することができる。近年の政府による地方創生における取組において、多様な主体による地方の活性化を推進する動きを見て取ることができる。平成30年から総務省では「定住人口」でもなく、「交流人口」でもない、特定の地域や地域の人々と多様に継続的に関わる者である「関係人口」に着目した施策に取り組んでいる。関係人口と地方のかかわり方の一つとして考えられているのが、スキルや知見を有する都市部の人材等が、地域課題に関する講座を受講し、地域において地方公共団体と協働して実践活動等に取り組むことなどにより、都市部で暮らしながら、地域課題の解決等に継続的に関わることである。(8) しかし、大江などは関係人口として期待される人たちは、ボランティア活動、頻繁な訪問などへの参加意欲が高い傾向にあるが、これは、「無関心・無関与」「交流人口」から「関係人口」へのステップアップが大きな壁となっており実行に移せないという実態があると明らかにした。その上で、地域で何のために何をしているのかという具体的な情報や関わりの場の提供することが有効であると考えている。(9) 総務省では、国民が関係人口として地域と継続的なつながりを持つ機会を提供する地方公共団体を支援することを目的とする「「関係人口」創出事業」を行っている。(10) 福島県矢祭村では既存の事業を東京圏在住者と共同で行うことで、新しい事業展開を始めた。町の関係者との複数回のグループワークを通して、他の地方自治体の農都交流の差別化を図っている。(11) 東京圏在住者のバックグラウンドも多様であり、コンサルタント、印刷、観光、建設、卸売、食品製造、広告、IT、フリーランスなどであった。(11)今後は、事業の発展と同時に、関係人口や農都交流人口の拡大を目指している。地方の人口減少、少子化に伴う生産人口の減少により、突発的に地方創生に貢献するアイデアが多数生まれる可能性は低いだろう。政府の現状の方針でも、多様な技術や知識を持つ人が地方の協力することで新たな魅力を創出しようとしていることが見て取れる。ホテル・旅館にはいうまでもなく全国から多くの観光客が集まる。彼ら・彼女らのような多様なバックグラウンドを持つ観光客を「共創」の場に引っ張り出してくることができれば、FCにおいての新たな価値を生み出せるのではないか。

 

(3)どのようなメリットがあるか

メリットを地方創生とホテル・旅館の二点から考えたい。

  • 地方創生のメリット

 従来の地方創生と本提案の大きく異なる点について言及する。矢祭町のプロジェクトは既存の自治体独自のイベントを前提に少人数(10数人)向けのものであった。もちろん、FCでもある程度の議題の範囲を絞らないと論点を明確にすることができず不毛の会話になってしまう。例えば、高齢化問題、農業問題などといったより広義なテーマ設定は重要になる。しかし、FCが目指すべき理想は課題が参加者の対話の中で顕在化することであり、詳細なテーマを設けることや人数制限はしない。また、地域の活性化には従来行われてきた関係人口創出のための施策も、すでに地方での労働内容が決まっており、募集要項を基に応募や声がかかるという形式であったので、そこが本提案と従来の地方創生とは異なる点である。FCによって生まれた取り組みは広い分野にわたってプロジェクトを創出し、地域の活性化につながることが考えられる。

 FCでの新たなつながりは、農家の新しい取り組みを推進するものと考えられる、その一例として、6次産業化が挙げられる。6次産業化とは農業や漁業などの一次産業を担う人たちが加工(二次産業)、流通や販売(三次産業)にも取り組み、新たな産業を創出することである、グローバル化に伴う農作物の価格低迷は国内農業に大きな影響を与えた。六次産業化による農家主体で新たな付加価値の創出は農村の活性化に必要と考えられている。しかし、農家の6次産業化における更なる飛躍には課題もあることが分かっている。日本政策金融公庫のアンケートによれば、農業者が6次産業化するにあたって不足している人材又はノウハウは、第一に「営業・販路開拓」、第二に「加工」、第三に「組織の管理運営」であると回答している。(12)農業者は、農業に関する生産技術や知識は豊富にあるが、6次産業化するにあたって重要な営業(第三次産業)や加工(第二次産業)のノウハウは十分でないと考えられる。一方で、都会からの訪問者の多くは農業に関する知識はないものの三大都市圏(一都三県、大阪、愛知)で第二次産業や第三次産業に従事している人が多いため、FCを通して彼らをつなげることは、6次産業化の流れを促進するものではないか。近年では、副業や兼業の理解が進み、副業を希望する人も増加している。首都圏管理職の45%は週1~2日の地方企業で行う業務に興味があると答えている。(13) また、副業や兼業を望む人の半数近くは新しいことに挑戦したいと考えるポジティブな意見が多い。副業に触れる機会さえあれば協働も十分期待できるものではないか(14)

 

  • ホテル・旅館のメリット

 日本では近年、「ニューツーリズム」が脚光を浴びている。ニューツーリズムでは、従来の観光名所を回る物見遊山の観光ではなく、体験型のコンテンツや地域の人との交流など深い体験を求められる。富良野市では、数名の有志を中心として官民一体で廃業や転業で生まれた空き地を利用し食の魅力を発信する複合施設づくりを中心とした利便性の高いコンパクトシティを建設した。結果、平成27年度には来客数118万人となり、今では生まれた利益を再投資することで更なる活性化を図っている。(15) FCから生まれた新たな取り組みは地域の特色となり、観光客の呼び込みにつながりその土地のホテル・旅館の賑わいに貢献するはずだ。また、プロジェクトが立ち上がり地方で副業として活動するようになった都市部からの参加者はホテルにリピーターとなることが予想されホテルにとってもリピーター獲得というメリットがある。政府は2020年度に、東京圏に住みながら地方で兼業や副業をする人に交通費を1人当たり年間50万円を上限に3年間で最大で150万円を支給する支援制度を始める予定だ。(16)支援制度を利用した週末の人の往来が進むことが考えられ、ホテル・旅館の副業者向けの週末限定プランなどの策定などは副業者の負担を減らすことにもつながり、往来を促進するものになるだろう。

 また、ICTやIoTの普及に貢献しサービス向上や省人化に寄与すると考えられている。掃除用ロボット導入によるバックヤードの従業員の負担軽減などである。プラザホテル豊田では、情報共有伝達補助ツールアプリの導入により、従業員間での連絡系統を確立することで作業効率を向上させた。(17) 日本の全人口の7割から8割はサービス産業に従事しているが、労働生産性の低さが国内の他の産業や他の主要国の観光産業と比較して問題視されている。しかし、IoTに必要なセンサーの分野では日本は大きなシェアを占めている。この、日本の強みであるセンサーとでは大きなシナジー効果を生むのではないか。また、コロナ下では、密を避ける必要があり人の移動を感知し混雑発生を避ける仕組みがとられている。星野リゾートでは、大浴場の入り口にセンサーを設置することで混雑状況を顧客がスマートフォンを通して確認できる仕組みを導入した。(18) 人の動きを把握し、密にならないようにする仕組みを構築するホテル・旅館こそが顧客から求められるのではないか。

 

まとめ

 私はホテル・旅館のFCを中心とした地域の活性化を図る新しいビジネス・地方創生モデルを提案した。旅館業の従来の役割は安心・安全で快適な施設・サービスの提供であった。しかし、今後は観光客と周辺に住む方とを結びつける共創の場を作り出すことが重要なのではないか。観光客は日本全国・世界各国から訪れ、多様なバックグラウンドを持つ。その中でも、新しい経験を求め地方での副業を求める人は多く存在する。一方で、地方在住者は人手不足やノウハウ不足などの地方特有の問題を抱える。両者をFCを通して結びつけることは、新たな産業や事業の発足につながり、ひいてはその土地の魅力を生み出すものである。副業に来た滞在者を取り込むことでホテル・旅館はリピーターの獲得というメリットだけではなく、その土地の魅力という長期的な武器は長期的な繁栄をもたらすと考える。

図1は提案を大まかにまとめた図である。

 

図1 提案の概要

 

おわりに

 私は旅館業を地域の共創の場でもあると定義した。2013年にフリーアナウンサーの滝川クリステルさんが東京五輪を誘致するプレゼンテーションで「お・も・て・な・し」を強調した。確かに、日本の文化の中にはおもてなしの精神が内在している。私は大学に入ってから二年間、海外旅行にしか行ったことがなく、国内旅行を一度もしたことがなかった。しかし、コロナ下で海外に出国できなくなり久しぶりに国内のホテルに泊まった。宿泊したのは比較的安価なホテルであったが、ふとした気遣いがホテルの中に溢れていることに感動すると同時に、国内のホテルのレベルの高さに驚いた。しかし、少子高齢化、地方の過疎化に直面する今、ホテル周辺の地域の魅力がないと人を集めることは難しい。これからはホテル・旅館が地域の魅力を「つ・く・り・だ・す」役割を果たす必要が同時にあるのではないか。石川県の加賀屋はおもてなしを「宿泊客が求めていることを、求められる前に提供すること」と定義しているそうだ。加賀屋は都心からもアクセスも決して良くはないが、それでも毎年22 万人が訪れ、年平均客室稼働率は80%だ。加賀屋の追求し続ける高い顧客サービスを一度でも受けた人には大きな満足感を感じ、再度利用する。これが高いリピート率につながり、高い稼働率にもつながるのである。これと同じように、「つ・く・り・だ・す」魅力を感じ、住民と同じような立場に立って一緒に考える一体感や高揚感、満足感を求めてリピートする地方創生の玄関口となる宿を作ることもできるはずである。

 

参考文献

(1)総務省「住民基本台帳人口移動報告 2019 年(令和元年)結果」(2020 年1月31 日公表)

(2)内閣官房 まち・ひと・しごと創生本部事務局,東京圏在住者の約半数が、地方圏での暮らしに関心あり~移住等の増加に向けた広報戦略の立案・実施のための調査事業報告書~, 令和2年5月15日

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/pdf/ijuu_chousa_houkokusho_0515.pdf

(3) 野村 恭彦,フューチャーセンターをつくろう―対話をイノベーションにつなげる仕組み,プレジデント社, 2012/4/24

(4)経済産業省, 知的資産・知的資産経営とは,

https://www.meti.go.jp/policy/intellectual_assets/teigi.html

(5)上野哲志・高田広太郎・寺田知太,欧州のフュチャーセンターに見る イノベー  ションを生み出す「場」の三元素,知的資産創造2013年1月号,

https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_9218123_po_cs20130106.pdf?contentNo=1&alternativeNo=

(6)中川秀一, 都市一山村システムの架け橋を担う新規就労者一「知識」をめぐる林業の転換に関して一,林業経済, 56巻3号p. 1-9,2003

(7)宮口侗廸,新・地域を活かす─地理学者の地域づくり論,原書房, 2007

(8)総務省,「関係人口」創出事業https://www.soumu.go.jp/main_content/000548030.pdf

(9)大江万梨・濱田悠輔・神原秀政・米田達海・太田尚達, 関係人口の増加に向けた提案と関係人口が果たす役割に関する考察,兵庫地理,64:105-113,2019

(10)総務省地域力創造グループ地域自立応援課, 平成30年度「「関係人口」創出事業」 モデル事業調査報告書, 平成31年3月

https://www.soumu.go.jp/main_content/000617803.pdf

(11)総務省 地域力創造グループ地域自立応援課,令和元年度「関係人口創出・拡大事業」モデル事業(関係深化型・関係創出型)成果報告書, 令和2年3月,p106-113

https://www.soumu.go.jp/kankeijinkou/discription/pdf/report_2020-0331_01.pdf

(12)日本政策金融公庫,平成24年度農業の6次産業化等に関する調査,2013年3月

https://www.jfc.go.jp/n/release/pdf/topics_130321b.pdf

(13)日本人材機構 「首都圏高度人材意識調査」Q:あなたの職務に近い、以下のような副業・兼業がある場合、あなたはどう感じますか?(1)週1~2日の地方企業で行う業務 の回答を使用

(14)独立行政法人労働政策研究・研修機構,多様な働き方の進展と人材マネジメントの在り方に関する調査(企業調査・労働者調査),平成30年11月30日

(15)内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局 内閣府地方創生推進事務局, 地方創生 事例集, 平成29年1月

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/meeting/top_seminar/h29-01-13-haifu4.pdf

(16)日本経済新聞,地方での兼業に交通費支援 政府、3年で150万円上限, 2020/1/10

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54240660Z00C20A1PP8000/

(17)観光庁,IT化・機械化・道具化 2018年度事例 プラザホテル豊田, http://www.shukuhaku-kaizen.com/wp-content/themes/shukuhaku_kaizen/img/2930.pdf

(18)鈴木慶太, 新型コロナの第2波に備えよ、ホテルや小売りがITを駆使した「3密」防止策, 日経XTECH,20200610, https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/04146/

すべて2020年8月30日に確認

 

角田貴史(つのだ・たかし)氏

2000年東京生まれ。2018年に東京工業大学生命理工学院に入学。生命科学の学びを深めるとともに、大学院の社会学ゼミに参加し政府の意思決定のプロセスについて勉強を重ねる。2020年の11月からは同院の研究室に所属し細胞制御に関する研究をする予定。

【受賞コメント】

 歴史あるタップアワードの第13回の学生賞に選出していただき大変うれしく光栄に思っています。正直、受賞が決まったメールを頂いたときは今まで感じたことのない雷に打たれたような衝撃を受けました。青天の霹靂とはまさにこのことを指すのか思いました。私はこれまで理系単科大学で生命科学について学ぶとともに、素人に毛が生えた程度ではありますが社会学について学びを深めてまいりました。これまでに学んだ知識を総動員して今回の小論文では旅館業と地方創生に着目し、旅館業の新しい共創という役割について述べました。今、旅館業はCovid-19蔓延という苦境に陥いり、観光という主柱をなくした地方創生も再考しなければなりません。その一助に私の提案が微力でも貢献することができたら幸いです。

 この小論文を書くにあたって、友人や先輩に多くのご助言をいただき感謝し御礼申し上げます。今回の受賞を励みに本職である生命化学に一層邁進してまいります。

 

 
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