「小さな結婚式」をご存知だろうか? 冠婚葬祭を手掛けるKSGグループの一つ、株式会社レックの少人数挙式専門ウエディング事業部である。挙式プラン6万7千円からという気軽さが喜ばれ、全国で年間1万5千組が小さな結婚式を挙げているそうだ。
さまざまな事情で結婚式を諦めてしまったカップルに、一組でも多く温かい式を挙げてもらいたいという、グループ率いるCEO高橋泉氏の想いからスタートしたこの事業、その考え方に賛同し、提携するレストランもどんどん増えている。フレンチの鉄人、坂井宏行シェフの店「ラ・ロシェル山王」もその一つ。
今年3月、沖縄に同事業部が運営する「イル・ド・レ チャペル」、併設する同シェフ監修の「レストラン イル・ド・レ 沖縄」がオープン。当初はシェフの旗艦ブランド「ラ・ロシェル」の名を冠していたが、地元恩納村をはじめ多くのお客さまに親しまれるよう、高品質なお料理をリーズナブルに楽しんでいただきたいと、坂井シェフの肝いりで5月に店名を変更した。
これは同シェフが愛する大西洋に浮かぶフランスのリゾート地の名前。東京渋谷でも、「シンプルで気取らないフランス料理をお腹いっぱい食べられる店」というコンセプトで、「ビストロ・イル・ド・レ」を営業している。
オープニングレセプションに出席させていただいた際は、目の前に広がる青い海と、スタイリッシュな非日常空間のコントラストに目を奪われたが、その後通常営業時に伺った折は、地元沖縄の厳選食材を使ったカジュアルフレンチに魅了された。
テラス席で、海に沈む夕日を観ながらのディナーは、雰囲気も格別。まずスタートは、サーモンの燻製テリーヌ。程よくスモークされたサーモンとお野菜が綺麗に並んだテリーヌは、まさに本格フレンチ。同店の堂瀬亮料理長、サスガ坂井シェフの味を継承すべくこの店を任されただけのことはある。
そしてブイヤベース。海老、あさり、ムール貝、蟹、魚など海の幸がタップリ入った、サフランの香り漂うスープのお味は絶品。本場さながらにアイオリソースが添えてあり、コレを入れるとまた魚介の味が引き立ち、スープにもさらにコクが出て超美味!
メインは、フランス産コクレー丸焼き。コクレーとは雄の雛鳥のことで、一羽丸ごと約500グラムを2人でシェアする。皮はパリッパリ、身はジューシー、モモや手羽など部位によって異なる味わいも楽しめる、贅沢な一皿に大満足であった。
毎年最も活躍した女性に贈られる「日経WOMAN ウーマン・オブ・ザ・イヤー」をなどさまざまな受賞歴のある高橋氏と、75歳の今も国内外のイベントで精力的に厨房に立つ鉄人坂井シェフ。最強の2人がタッグを組んだ同店は、これからも多くのカップルの「リゾートウエディング」という夢を叶え、同時に恩納村の人々に愛される店として、輝き続けるだろう。
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。
サーモンの燻製テリーヌ
ブイヤベース
フランス産コクレーの丸焼き