現在ではすっかりおなじみの「ごぼうサラダ」。シャキシャキした食感と、食物繊維の豊富さがウケ、今やデパ地下のお惣菜売り場でも人気の商品だが、かつてはごぼうを生で食べるという発想はなかった。これを1986年にいち早く商品化し、ごぼうサラダを広めるキッカケを作った会社がある。年商669億3300万円(2016年3月期・連結)を誇る1部上場企業、ケンコーマヨネーズだ。
社名のマヨネーズだけを作っているワケではない。業務用食品を中心に、同グループの商品アイテム数は何と3100以上。主力はサラダ・惣菜類、マヨネーズ・ドレッシング類、タマゴ加工品などで、ファミレスやチェーンレストラン、コンビニ、居酒屋、学校給食などさまざまな業態に対応し、業務用市場の約3割のシェアを持つ。
その強さの秘密は、何といってもメニュー提案力。プロに提案する商品は、おいしくて当たり前。むしろ、お客さまが困っている事を解決できる商品を開発し、提案しようと努力を重ねてきたことで、現在の地位を築いたのである。
例えば「ロングライフサラダ」。これはパン屋さんの悩みを解決することからスタートした。夏場になると、傷みやすいサラダ類が使えなくなるため、惣菜パンのバリエーションが一気に少なくなってしまう。
そこで同社では試行錯誤の末、サラダを真空パックで加熱殺菌する技術や、加熱に耐えられるマヨネーズなどを開発。ついに1977年、35度の気温下でも2~3日保存可能で、未開封なら冷蔵で30日保存可能な、業界初となる「ロングライフサラダ」の発売へとこぎ着けたのだ。
もう一つ、こんな悩みから生まれた商品もある。筆者は千切りのキャベツをマヨネーズで和(あ)えたコールスローが大好物。だが、作ってすぐ食べずに置いておくと、マヨネーズの塩分で野菜からどんどん水分が出てベチャベチャになり、キャベツ自体もしんなりしてしまううえ、ちょうど良いあんばいだったはずの味付けまで薄くなってしまう。
それを解決すべく生まれたのが「HSマヨネーズタイプ」。野菜の離水を抑えられるため、水っぽくならずにシャキシャキの食感を保ち、味の変化も防げるという画期的な商品だ。
他にも、加熱しても硬くならず、ふんわりトロトロの状態をキープできるため、朝食ブッフェなどで加温し続けてもOKという「クリーミースクランブルエッグ」など、目からウロコの便利商品がラインアップには目白押し。恐るべし、ケンコーマヨネーズ!
代表取締役社長、炭井孝志氏率いる同グループが目指すのは、「サラダNo.1企業」。サラダとは野菜をキーとして、食材・味付け・調理法の創意工夫で進化発展させた「サラダ料理」なのだという。メインディッシュにもなり得る、無限の可能性を持つ「サラダ料理」とは一体どんな物なのか? 次号では、先般開催された同グループの総合フェアの様子をレポート!
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。