
久し振りに、おいしいサンドイッチに巡り合った。「サンドイッチハウス メルヘン」のものだ。食品会社を介して株式会社メルヘンの創業者・原田純子社長と知り合い、どんなサンドイッチなのだろうと興味は持っていたものの、今まで買って食べたサンドイッチを、あまりおいしいと感じたことはなかった。
購入したのは、一番人気のタマゴサンドと、やはり支持率の高いエビカツサンド。タマゴサンドは、持ってみると、ずっしりと重く、具がタップリ入っている。驚いたのは、パンのおいしさ。ふんわりした口当たりなのだが、単に軟らかいだけでなく、しっとり感がある。具の卵はあくまでも滑らかで、マヨネーズが強過ぎず、まろやか、かつ繊細な味わい。パンと具が口の中で混然一体となった瞬間、口福が訪れる。
続いて、エビカツサンド。軟らかなパンとシャキシャキのキャベツ、プリプリの海老とカリッとした衣、さまざまな食感が楽しめる。タルタルソースと、やや甘めのソースのハーモニーも絶妙。そのクオリティーの高さに、脱帽であった。
どうしてこんなにエビカツがサクサクしているのか?
秘密は、同社がこだわっている「作りたて」にあった。直営店の他、デパ地下や駅ナカなどに26店舗を構えるが、工場は持たず、総て店内厨房で生産しているのだ。購入した三越日本橋店では、店頭の厨房の他、具材となる揚げ物などは、百貨店内の別の厨房で調理しているそうだ。
他にも、こだわりはたくさんある。
まずは素材。タマゴサンドの卵は「ヨード卵・光」を使っているそうだが、高価な卵がぜいたくに入っているのだからスゴイ。そして味付け。毎日食べても飽きが来ないよう、日本人の味覚に合わせた、後味の良さにこだわっているという。素材を生かすパンやマヨネーズも、自社オリジナルレシピのものだ。
さらには、季節感である。種類の豊富さで知られる同社のサンドイッチ、社長自らが食べたい物をはさんでいるうちに、100種類以上になったそうだが、定番だけでなく季節商品などを合わせると、年間に発売されるサンドイッチはもっと多いらしい。
中でも不動の人気を誇るのが、旬のフルーツと生クリームをタップリ入れたデザートサンドイッチ。定番のイチゴだけでなく、ビワやイチジク、ブルーベリーなど、季節を感じられるラインアップが楽しめる。ホイップ仕立ての生クリームが軽やかで美味と専らの評判。左党の筆者だが、コレはぜひトライしてみたい。
相手を包み込むような優しさに溢れる原田社長のお人柄同様、やさしい味わいのサンドイッチ。創業1982年以来、人々に愛され続けている理由は、店頭に置かれたリーフレットに書かれている「おいしさとしあわせを、はさみました」という言葉に尽きる。
本物志向でありたいと語る原田社長のサンドイッチは、質が高いだけでなく、夢のあるシアワセなサンドイッチなのだ。
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。