【竹内美樹の口福のおすそわけ 363】骨付鳥を再現してみよ~う!~後編~ 宿泊料飲施設ジャーナリスト 竹内美樹

  • 2021年4月24日

竹内氏

 いざ台所へ!と意気込んだ、前号の続き。いよいよ、香川県丸亀市の名物料理、骨付鳥を自力で再現してみることに。目指すは筆者が度々訪れていた、骨付鳥発祥の店「一鶴」の味。

 再現料理は得意な方だが、しばらく行っていなかったから、頭の中でじっくり思い出し、慎重を期すためネットでも調査した。やっぱり重要なのはあの「汁」だ。店ではそれを付けて食すためのキャベツが供されるし、メニューのおむすびの説明書きにも「タレにつけてどうぞ」とある。つまり、お皿をなめ尽くしたくなるくらい美味なのだ。

 果たして、その正体は?… メインは「鶏油(チーユ)」、つまり鶏肉から抽出される油である。ラーメン屋でも風味付けとしてスープの仕上げに使われるが、うま味が強く香りも良いので、油と言うよりむしろ調味料的に使う場合が多い。だが一鶴では、コレで鶏を焼くのだ。そして強めに味付けした鶏肉から滲(にじ)み出た肉汁と鶏油が混じり合い、あのウマイ汁になるのだろう。モチロン想像の域を出ないが、試してみる価値はある。

 そこで、まずは鶏油作りから。鶏皮を適当な大きさに切り、中華鍋に入れ弱火でじっくり焼けば、徐々に脂が滲み出てくる。皮が色付いてカリカリになってきたら、ネギの青い部分やショウガなど香味野菜を入れ、それが焦げる直前に火を止めて濾(こ)せば出来上がり。30分程度かかるが、残った鶏皮に塩を振るだけで最強おツマミ「鶏皮せんべい」にもなり、一石二鳥♪ しかも、鶏油は必須脂肪酸の一つ、リノール酸の含有量が多い。健康維持に必要なのに、体内で作ることができない必須脂肪酸の摂取にはうってつけというワケ。

 骨付き鶏モモ肉は内側を骨に沿って開き、味がしみ込むようフォークで穴を開け、塩、こしょうとおろしニンニクをタップリすり込み30分寝かせた後、鶏油を天板にタップリ敷いた上に載せ、250度のオーブンへ。途中上下を返し、たまに鶏油をかけながら、肉に火が通り、皮がカリッとするまで焼けば完成♪

 恐る恐る口に運ぶと、やったぁ~!とガッツポーズが出てしまう出来栄え。あの「塩分強めでスパイシーかつニンニクだく」なパンチの効いた味がちゃんと再現されており、しかもジューシーでムチャクチャ軟らかく、超大満足!

 昭和27年、近藤定市・田鶴子夫妻が、お好み焼きとおでんの店として開業した一鶴。翌年、外国映画で、女優が骨付き肉にかぶりついているシーンを見た同氏。その豪快さに驚き魅了され、自分もこんなぜいたくな食べ方でお客さまを喜ばせたいと、骨付鳥を考案したそうだ。カウンター7席のみという小さな店からスタートし、今や最大364席、4都市で9店舗を営むまでになった発展の原動力は、たった一品の料理だったのだ。現在は市のマスコットキャラとして地域振興も担っているのだから、スゴイぞ骨付鳥!

 再現したくなるほどヤミツキになるその味は、皆に愛される口福の味だった。

 ※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。

 
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