【竹内美樹の口福のおすそわけ 358】おでんワールド! その3 宿泊料飲施設ジャーナリスト 竹内美樹

  • 2021年3月18日

竹内氏

 おでんがなぜ大阪で「関東煮(かんとだき)」と呼ばれるのか? その前に、まずはおでんの誕生から。昔、白いはかまに色の付いた衣を羽織った田楽法師が、一本棒に乗って踊り、豊穣を祈願した。その「田楽舞」の様子と似ていたため、豆腐に味噌(みそ)を塗った食べ物が「田楽」と呼ばれるようになった。これに接頭語を付けた女房言葉「御田楽」を略したのが「おでん」。つまり元々おでんとは、豆腐やこんにゃくなどに味噌を塗った田楽を指した。

 では、その後どのように現在のおでんに進化したのだろう? それには諸説ある。江戸時代、天秤棒で担いだ商品を売り歩く「振り売り」のおでんは、店先で焼いた物と違い、お湯で温めた物に味噌を塗っていたようだ。だが、気が短い江戸っ子は味噌を塗るのを待つのがイヤ。「ミソを付ける」に通じて縁起が悪いとも言われた。ちょうどその頃、近くの野田や銚子でしょうゆ造りが盛んになったため、いつしかしょうゆやみりんでおでんを煮込むようになったという説が有力。

 これが関西に広まった際、味噌田楽と区別するため、関東煮と名付けたそうだ。関東はかつおだしを使い味が濃いが、関西は昆布だしで薄味。おでんも徐々に関西風の味になり、それを関東大震災の炊き出しで関西の料理人が振る舞い、関東に逆輸入されたという。

 親しい人が、この連載を読んでおでんが食べたくなったと仰って下さった。それにしても、おでんはなぜ人気があるのか? 実は、科学的な根拠があるようだ。おでん種はバラエティーが豊富。その中から自分が食べたい物を選ぶ。何から食べ始めるか? 次は何にしよう? アレもおいしそう…と考えることで、脳が刺激されるそうだ。また、具によって食感もさまざま。フワフワのはんぺん、プニュプニュなこんにゃく、ジューシーながんもどき、歯応えあるごぼう天などテクスチャーが異なり、咀嚼(そしゃく)運動にも幅が出る。それも脳に刺激を与え、快感になるというのが人気のヒミツらしい。

 話は変わるが、筆者がコンビニ米飯の監修に携わっていた時、先方の担当者が一冬で6キロも痩せたことが。聞けば、おでんダイエットだと言う。セブンを例にすると、玉子、大根、白滝、こんにゃく、焼きちくわ、ロールキャベツ、牛すじ、がんも、はんぺん、昆布巻を食べた場合、合計たったの277キロカロリー。お腹一杯、食物繊維やタンパク質も取れるおいしいダイエットだ。

 わが家のおでん種は、近所の深川資料館通り商店街の老舗「美好」で調達する。ニラとキクラゲ、シイタケ入りの「にくらし揚げ」や、あさりとネギに一味唐辛子を効かせた「深川揚げ」など、オリジナルおでん種がムチャウマい! 他にも、トロッとチーズが溶け出す「ちーず巻」やガッツリお肉の「しゅうまい巻」、季節限定「銀杏巻」など絶品ぞろい?

 探ってみると、意外に奥が深いおでんワールド。おでんと共に杯を傾ければ、あぁ口福、日本人で良かった…って、考えてたら食べたくなっちゃった! おでん種、買いに行こうっと♪

 ※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。

 
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