【竹内美樹の口福のおすそわけ 321】納豆ワンダーランド その2 宿泊料飲施設ジャーナリスト 竹内美樹

  • 2020年6月5日

 前号に続き、納豆のお話。新型コロナウイルスに効くというデマのせいで、一時的に品薄になった納豆。納豆が欠かせないわが家は、ネットで調達することに。いまだ注文殺到によりお届けに時間が掛かるとするサイトもある中、何とかゲットしようと探しているうち気付いたことが。納豆には極小粒や大粒など粒のサイズがいろいろあるが、豆好きな筆者は当然豆感のある大粒が好み。ところが、どのサイトも圧倒的に小粒の品ぞろえが多い。そういえばコンビニで売っているのも小粒。つまり、世の主流は小粒だったのだ!

 調べたところ、粒の大きさは農産物規格規定で定められており、選別するふるいの目の大きさによって、大粒は7・9ミリ以上、小粒は5・5ミリなどと決まっているそうだ。実はかつて、全国的主流は大粒納豆だったらしい。それを変えたのが水戸納豆だ。茨城県では、台風の影響を受けない極早生品種の小粒大豆の生産量が多いため、納豆も小粒。明治22年水戸駅開業に伴い、駅前広場で土産物として藁苞(わらづと)納豆を売り出したところ、日本三名園の一つ偕楽園を訪れる観光客の評判を呼んだ。小粒の方がごはんと食べやすく、豆の表面積が多いため粘りが出るのも人気の秘密。

 忘れちゃならないのが、納豆巻きの必需品ひきわり納豆。お恥ずかしながら、昔は納豆を刻んだ物だと思い込んでいたが、豆を砕いてから発酵させていると知った時はビックリ!

 さて、納豆という名前は、どこから来たのだろう? 諸説あるが、古くはお寺で施物(せもつ)の穀類や金品などの出納を行う「納所(なっしょ)」で作っていたので、「納所豆」と呼ばれたのが語源という説が有力。江戸時代には納豆売りが存在し、すでに一般に流通していたが、現在同様の工場生産品となったのは、明治時代に入ってから。

 冷蔵と輸送技術の発達で、今や全国各地の納豆を取り寄せられるから、納豆好きにはうれしい限り。粒の大きさだけでなく、青大豆や黒豆など豆の種類や、とよまさり、ユキシズカ、スズマルなどさまざまな品種があり、それぞれ風味が違う。食べ方だってあれこれ楽しめる。別添のタレでなく、塩で食べても美味だし、胡麻(ごま)油やオリーブオイルもイケる。辛子でなく七味や山葵(わさび)もアリ、葱(ねぎ)など薬味を入れたり、生卵と混ぜたり。

 美食家北大路魯山人は、「納豆の拵(こしら)え方」にもこだわりがあった。まず何も加えず練り、白い糸状のものがたくさん出て練りにくくなったら、しょうゆを数滴落としてまた練る。それを繰り返してドロドロになったら、辛子と葱のみじん切りを入れる。これを熱々のご飯に載せ煎茶をかけた「納豆茶漬け」が、「意想外にうまいもの」「口福を満たさるべき」と述べているのだ。

 お茶漬けにはしたことがなかったので、ステイ・ホーム中にチャレンジしてみた。ふむ、確かに意想外にウマイ! コロナで失った物も大きいが、小さな口福も見つけられた。納豆食べてネバーギブアップ、みんなで頑張ろう!

 ※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。

 
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