
お祭り大好きな筆者、全国のさまざまなお祭りに出掛けてきた。札幌YOSAKOIソーラン祭り、仙台七夕まつり、新潟長岡まつり大花火大会、東京神田祭、京都祇園祭、徳島阿波おどり、土佐よさこい祭り、博多祇園山笠など。だが残念なことにこのほとんどが、「三つの密」を回避するため今年は中止。夏祭りならまだ先なのに…と思うが、事前に準備の打ち合わせなども必要だと考えると、致し方ない。
どのお祭りも地域の誇りだけあって、魅力は甲乙つけ難い。そんな中、地域特産の食べ物と共に思い出に残っているのが、青森県の「五所川原立佞武多(ごしょがわらたちねぶた)」だ。同県には数多くのねぶた祭が存在するが、三大ねぶた祭と呼ばれるのが「青森ねぶた」「弘前ねぷた」と、この「五所川原立佞武多」。
その名の通り立ちねぷたの山車は、大きな物で高さ23メートル、重さ19トンにものぼり、6階建てのビルを超えてしまうほど。夜、明かりが灯され街中を練り歩くさまは、圧巻であった。
さて、「思い出の味」とどうリンクするのかって? 五所川原市内から車で1時間かからずに行けるのが、県内で十和田湖と並んで有名な十三湖。景勝地としても名高いが、日本有数のしじみの産地として知られる。モチロン、本場のしじみを食べにGO!
十三湖名物といえば、しじみラーメン。発祥の店に行こうかとも思ったが、欲張りなので他にもいろいろなお料理が食べたいと、しじみ料理のメニューが豊富な「しじみ亭奈良屋」へ。しじみラーメンの他、しじみ釜飯、しじみ汁、しじみバター炒め、しじみチャウダー、しじみ南蛮漬けのせ豆腐、しじみスパゲッティなど、バラエティー豊か。
あれこれ注文して皆でシェア、十三湖のしじみを堪能させていただいた。バター炒めはしじみの大きさに圧倒された。まるでアサリみたいなのに、味わいは全然違う。チャウダーは日本人好みのアッサリタイプだが滋味深い。ラーメンは、しじみのうま味タップリのだしで、超激ウマ!
十三湖は白神山地から注ぐ岩木川と日本海が交わる汽水湖で、しじみがおいしく育つ条件がそろっているのだ。加えて、資源保護の観点から漁師さんたちが細かい取り決めをして、しじみを守っている。地元漁協ではいち早くGI認証(地理的表示保護)制度に着手し、「十三湖産大和しじみ」として登録された。
夏の産卵期に入る前は、身が大きく膨らんでプリっぷりに。冬は「寒しじみ」と呼ばれ、冷たい湖水に耐えるためアミノ酸が増えてうま味満点。季節による味わいも楽しめて最高だ!
オマケに牛乳の3倍ものカルシウムがあり、肝臓に良いといわれるタウリンやアラニン、オルニチンなども豊富に含まれているため、呑兵衛には願ったりかなったりの食材である。
6月になれば、成長してぷっくり太ったしじみが出回り始めるそうだ。その頃には、ステイ・ホームでお取り寄せを味わうんじゃなく、現地に行けるようになっていることを祈る。
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。