【竹内美樹の口福のおすそわけ 316】思い出の味 その1 出雲そば 宿泊料飲施設ジャーナリスト 竹内美樹

  • 2020年4月25日

 ステイ・ホーム、である。宿泊・観光業界の大打撃となることは、考えるまでもない。筆者が役員を務めるお弁当製造販売会社「神田明神下みやび」も、大口注文のキャンセルや百貨店の休業・時短でほとんど商売にならず、飲食店もしばらく休業することに。この先どうなることやら…。でも、もっと大変な方もおられるのだから、踏ん張るしかない。

 いつも見ている、生放送の旅の情報番組をつけてみた。少し前から自粛モードで、過去放送分のビデオを流すことが増えていたが、今回はレギュラー出演者もステイ・ホーム。それぞれ自宅からコメントし、局アナだけがスタジオで進行を務める形だった。

 筆者も同じく、過去を振り返ることに。まだご紹介していない思い出の食材やお料理が、たくさんあるのだ。

 さて、前置きが長くなったが、今回どこの何について書くか? やっぱり苦しいときって、ついつい神仏にお願いしたくなる。ってことで、毎年神無月に八百万(やおよろず)の神様が集うという有難い場所、「出雲大社」近くの「出雲そば」について。

 島根県松江しんじ湖温泉「なにわ一水」は、宍道湖を一望できる露天風呂が付いたオシャレなデザインの客室を有する、筆者おススメの宿の一つ。勝谷有史社長と親しくさせていただいているので、何度か伺っている。その折には車で45分程度の出雲大社に参詣し、近くで出雲そばをいただくのも楽しみの一つ。

 出雲そばには、いくつかの特徴がある。まずは、そば自体が黒い。殻付きのそばの実をそのままひく「ひきぐるみ」という製粉方法ゆえだ。そばの香りが強く、ザラッとした食感になる。

 もう一つは容器。「割子(わりご)」と呼ばれる漆器を重ねて提供する。形状は丸型の平椀だ。江戸時代、野外でそばを楽しむために、四角い重箱に入れて持ち運んだのがルーツだという。その後四角では容器の隅が洗いにくいという理由から、円形に変わったらしい。

 食べ方にもまた特徴がある。割子を重ねたまま、直接つゆをかけて食すのだ。1枚目を食べ終わったら、残ったつゆを2枚目にかけ、空いた器を一番下に入れる。モチロン追いつゆもアリ。薬味が別添の店もあるが、最初からそばに載っている店も多い。ちなみにワサビは使わず、もみじおろしとネギ、のりが主流。

 筆者がいつも立ち寄るのは「かねや」。ひきたて、打ちたて、ゆでたての「三たて」にこだわっている。出雲大社近辺には有名な店が多いが、ここがお気に入りなのは他よりもそばが黒いから。まさにザ・ひきぐるみの風味と味が楽しめる。必ず注文するのが「三色割子」。シンプルにもみじおろしとネギ、のりが載った物、プラスとろろバージョンと卵バージョンの3種類だ。ツルツルペロリといただけちゃう。最後のそば湯も、ムチャクチャ濃厚でこれまたウマイ。

 あぁ、また食べに行きたくなっちゃった! でも、ステイ・ホームである。八百万の神様、早くこの状況が終わりますように!

 ※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。

 
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