【竹内美樹の口福のおすそわけ 282】炊飯器 vs 土鍋 vs 羽釜 その1 宿泊料飲施設ジャーナリスト 竹内美樹


 最近、わが家の炊飯器の調子が悪くなってきた。購入時にはいろいろなメーカーのさまざまな機種を調べ上げ、「やっぱりご飯はおいしくなくちゃ」と清水の舞台から飛び降りる気持ちで、当時最上級スペックと思われる物を買ったつもりだったが、その後の進化にはただ目を見張るばかり。

 ちょっと前までは、マイコンか圧力か、はたまたIHなのかという加熱方式が大きな選択肢だった電気炊飯器。イマドキの炊飯器選びでは、より多くの悩ましい問題が。その一つが、各メーカーがウリにしている炊き方だ。

 「極め炊き」「踊り炊き」があったかと思えば、「極上ひと粒炊き」なんていうのもある。最近テレビを見ていたら、人気俳優が炎のついた松明(たいまつ)を手に舞いながら飛び回る、派手なテレビCMがあった。何だろう?と思っていると、最後に登場したのが炊飯器で、特徴の「炎舞炊き」を表現したようだ。

 お米の銘柄による炊き分け機能がついているのも、珍しくなくなった。それどころか最近では何と、「糖質カット炊飯器」なるものまで存在する。その秘密は、内と外二つの釜でお米を煮た後、内釜だけリフトアップされる構造。煮ている間に糖質が溶け出した煮汁から内釜を引き上げて蒸し炊きすることで、最大約35%もの糖質がカットできるのだという。

 さらに、魔法の鍋という評判を得て、一時は15カ月の入荷待ちと言われた人気の鋳物ホーロー鍋「バーミキュラ」も、「コレで炊くご飯はおいしいけど、火加減が難しい」という声に応えて、電気炊飯器市場に殴り込みをかけてきた。鍋とふたとの隙間が0.01ミリ以下という驚異の職人技で造る本格派の鍋なのに、スイッチ一つでご飯が炊けちゃうのだ。しかも調理モードがついて鍋としても使え、温度が一定に保てるから、低温調理だってお手の物。うぅ~ん、魅力的。

 そして今度はなんと、ホンモノの土鍋まで家電に! 実は筆者も持っている伊賀焼の土鍋「かまどさん」が、ついに「かまどさん電気」に進化したのだ。土鍋なのに電気で炊けるから、火加減を調整するためにずっと張り付いている必要がないし、失敗もない。

 外見的に海外からのお客さまにウケが良いということもあり、朝食ブッフェに導入している宿泊施設も少なくないと聞く。席数の多い朝食会場で、全てのお客さまに炊きたての土鍋ご飯を提供するのは難しい。人数の多さはもちろんのこと、朝食をとる時間もまちまちだからだ。だが、これなら時間をずらして数台で炊けば、常に炊きたてのおいしいご飯を召し上がっていただける。スイッチポンで、手間も掛からない。

 もしわが家の炊飯器を新調するとしたら、「バーミキュラ・ライスポット」か「かまどさん電気」を選びたいところだが、現実的ではない部分も。どちらも鍋が重いため、腕の力が弱くなってきた母には扱い難い。また、お値段もハンパじゃない。さて、どうする? 続きは次号で!

 ※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。

 
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