【竹内美樹の口福のおすそわけ 278】ジャガイモ談義 その1 宿泊料飲施設ジャーナリスト 竹内美樹

  • 2019年7月4日

 先日某レストランでの注文時、「二つのお料理にフライドポテトが付いているので、一つはマッシュポテトにしましょうか?」と聞かれた。両方とも好きな筆者には、うれしい提案だ。

 他にも、ベークドポテトやハッシュブラウンポテトなど、料理の付け合わせとしてよく登場するジャガイモ。主食にしている国もあり、料理のバリエーションはムチャクチャ多い。

 わが国ニッポンの代表選手は、なんたって肉じゃがだろう。オフクロの味と言えば肉じゃが、という答えが返って来るほどだ。家庭科の調理実習で定番の、粉ふき芋も忘れちゃいけない。ポテトサラダやコロッケなど、洋モノだってある。カレーやみそ汁の具としても、なかなかイケる。

 そんな愛すべきジャガイモ、かつては迫害されていた歴史がある。南米アンデス山脈原産とされるジャガイモがヨーロッパに伝わったのは、15世紀終わりごろらしい。まだその食べ方も分からず、芽を取り除かずに食しソラニン中毒を起こす人がいたことや、見た目の醜さから人々に敬遠された。さらに、聖書に載っていない植物であり、神が定めた受粉によらず、勝手に塊根から発芽するのは不純だと、宗教裁判にかけられたこともあったというからオドロキだ。

 悪魔の作物とまで呼ばれたジャガイモだが、プロイセンのフリードリヒ2世がその栽培を促進させた。ジャガイモは寒冷地や痩せた土地でも育ち、栽培期間も短く、年2回収穫できる上、麦などの穀類に比べ収穫量が多い。地中に実るため鳥害の影響も受けず、戦争で踏み荒らされても全滅はしない。しかも保存が可能とあって、当時頻発していた飢饉(ききん)の対策にはもってこいだったのだ。

 こんな逸話が残っている。イメージが悪く農民がなかなか栽培したがらないジャガイモを、フリードリヒは自分の農園に植えて厳重に警備させた。それほど貴重な物ならばと、民が夜な夜な盗みに来たが、警備兵にはそれをとがめるなと命じてあったため、瞬く間にジャガイモを栽培する農家が増えたという。

 ジャガイモ普及のもう一人の立役者は、アントワーヌ・オーギュスタン・パルマンティエという、フランスの薬剤師で農学者、栄養学者。七年戦争の際、プロイセンの捕虜となった彼は、この地で既に食用とされていたジャガイモと出会うことに。母国に帰り研究を進めた結果、栽培のさまざまな利点や、栄養学的にも優れていることを究明。ジャガイモを食べるなんてとんでもない!と考えられていたフランスで、ジャガイモの啓蒙(けいもう)活動に注力。かのマリー・アントワネットがジャガイモの花を髪飾りにし、貴族の間ではやったそうだが、それも彼の策略で、宣伝の一つ。

 ちなみにフランスでは、ジャガイモと牛ひき肉の重ね焼き「アッシェ・パルマンティエ」のように、ジャガイモ料理にその名を冠し、栄誉をたたえている。

 ジャガイモのおいしい話は、次号をお楽しみに!

 ※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。

 
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