
近年何かと話題の「ふるさと納税」。手続きさえすれば所得税や住民税の還付・控除が受けられ、地域の名産品など御礼の品もいただけるとあって人気だ。人口が少なく税収も少ない地方自治体にとって、この制度はありがたいものだろう。それが過度な返礼品や返礼品競争につながったワケだが、各地の特産品がPRの機会を得、地域活性化のプラスになるという意味では悪くないと思う。
先日、東京宗像会主催の「東京&宗像交流会」に参加させていただいた。福岡県宗像市共催、宗像漁業協同組合・むなかた観光協会協力というこの会、約160名もの参加者でにぎわった。伊豆美沙子市長や、世界遺産宗像大社の葦津敬之宮司、小林正勝観光協会長など、豪華な顔ぶれから同市を挙げてのイベントと分かる。
まず、宗像市の観光名所と「ふるさと納税」の紹介があった。返礼品として絶大な人気を博しているのが「鐘崎天然とらふく」。以前この連載でも書かせていただいたが、同市鐘崎漁港は、国内有数の天然フグの水揚げ高を誇り、フグの本場下関に出荷されているほど。当日は、同組合所属の「鐘崎ふくはえ縄船団」の面々も出席されていた。
玄界灘の幸に恵まれ、西日本の海女の発祥地としても名高い鐘崎では、取れる魚種もさまざま。トラフグだけでなく、シロサバフグやシマフグなどの天然フグの他、一本釣りブランド魚「玄ちゃんアジ」、透き通った身を刺身で楽しめる「玄海活イカ」、地ダコや穴子など。前出小林会長の「御宿はなわらび」に伺っては、季節ごとにその新鮮な美味を堪能させていただいている。
立食ビュッフェのパーティー会場では、和洋中のいろいろなお料理に加え、豪華に盛り付けられたフグ刺しとフグの唐揚げが! オマケに、市長のご実家である蔵元「伊豆本店」の日本酒をはじめ、ワインやウイスキーなどがずらりと並ぶ。いやはや、超大盤振る舞い。
その上何と、白子酒まで振る舞われていた! 東京では、最低でも1杯2千円以上するだろう。店によっては1人1杯限定にしている。だが、会場の東京大神宮マツヤサロン料理長が付きっきりでサービスするホンモノの白子酒が、飲み放題なのである!
白子酒を初めていただいたのは、数年前の「お宿はなわらび」。人生初の感動を今も思い出す。佳子女将に作り方を教えていただいたが、ポイントはよく混ぜることと熱々の日本酒を入れること。ヘタに作ると生臭くなってしまう。
この日の白子酒、モチロン臭みもなく、クリーミーかつ濃厚で、甘みがあって激ウマ! ついお代わりをしてしまった。何というシアワセ。白子は、産卵期の1月から3月ごろが最も美味とされる。ヒレ酒も良いけど、白子酒も捨て難い。
組合のキーマン竹浦誠氏、いつも鐘崎の水産物について、白子酒同様熱く語って下さる。その地元愛が人々を動かし、鐘崎ブランドを世に広めているのだとつくづく感じ、ますます宗像が好きになった夜だった。
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。
白子酒
ふぐ刺し
ふぐの唐揚げ
ふぐ刺し