【竹内美樹の口福のおすそわけ 257】お雑煮 宿泊料飲施設ジャーナリスト 竹内美樹

  • 2019年1月24日

香川風白みそ仕立てのお雑煮

 お正月に、おせち料理を食べるか否かについて、ある企業が既婚女性に対してアンケート調査を行ったところ、41%もの人が「食べない」と答えたという。理由は「あまり好きではない」「値段が高い」などだそうだ。それに比べ、お雑煮を食べる人は86%にものぼるというから驚き。

 筆者の親友は「アレを食べないと新年を迎えた気がしないのよねぇ~」とよく言っていた。アレとは、彼女の母上が作るお雑煮だ。新潟県のご出身だそうで、鮭(さけ)とイクラが入っているという。初めて聞いた時はかなり衝撃的だったが、さらにその上を行くのが香川県のお雑煮である。

 以前同県で食した「あん餅うどん」について、このコラムでご紹介させていただいたが、その際お正月にも「あん餅雑煮」を食べる習慣があると述べた。白味噌(みそ)仕立ての汁に餡子(あんこ)入りの丸餅が入ったこのお雑煮は、「農山漁村の郷土料理百選」でも、讃岐うどんと並んで香川県を代表する郷土料理に選ばれている。

 実はわが家では、香川県の知人が年末に送って下さる自家製の杵つき餅でお正月を迎えている。届いた箱を開けると、中から出て来るのはまだ少し軟らかい大きなのし餅と丸餅、そして餡子入りの丸餅!

 のし餅は硬くなる前に切り分け、焼いてお雑煮に入れるのだが、コレがべらぼうにウマイのだ。やっぱり機械でついた餅とはワケが違う。サスガに餡子入りはお雑煮ではなく別にいただくが、やっぱり香川なんだなぁと思う。ちなみにわが家のお雑煮は、サッパリしたすまし汁。具材は、下味を付け片栗粉をまぶして湯がいた鶏肉と、あらかじめゆでた人参と大根、彩りの三つ葉、そしてお餅のみ。

 考えてみると、おせちよりお雑煮を食べる人がずっと多いのは、それがおふくろの味であり、故郷の味だからだろう。つまり、それだけお雑煮ってバラエティ豊富なのだ。汁の味付けも違えば入っている餅や具材もそれぞれに違う。

 そもそもお雑煮は、お正月に家々に幸をもたらす歳神様にお供えした餅と、その土地の食材で作ったのが始まりとされ、だから地域によって異なるのだ。

 農林水産省のホームページに、伝承料理研究家の奥村彪生氏の作図による「お雑煮文化圏マップ」なるものが掲載されており、とても興味深い。大まかに言うと、角餅か丸餅か、またそれを焼くか煮るか、さらには汁がすましか白味噌、赤味噌かなどの組み合わせで、地域ごとに特徴があるようだ。「あずき汁文化圏」もあり、それってお汁粉では?と思うが、ご当地では普通なのだろう。

 地産地消の象徴のようなお雑煮。米の採れない地域では、餅を入れないお雑煮もあるという。お雑煮談義もキリがないが、その上餅について書き始めたら収集がつかなくなるので、後日改めてと思っている。

 地域の食文化が継承されていくって、素晴らしいことだ。それを伝える重要な役割を担っているんだから、スゴイぞ、お雑煮!

※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。

餡入り丸餅

香川風白みそ仕立てのお雑煮

 
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