【竹内美樹の口福のおすそわけ 245】濃熟茸 宿泊料飲施設ジャーナリスト 竹内美樹

  • 2018年10月21日

 以前キリン一番搾りのテレビCMで、俳優の佐藤浩市さんが日本のおいしい物を食べ、ビールを飲むシリーズがあった。中でも印象的だったのが、七輪でシイタケを焼く佐藤さんが真剣な表情でカサの裏側にしょうゆを垂らし、焼きたてをハフハフとおいしそうに頬張るシーン。見たら誰もがシイタケを食べたくなりそうなビジュアルで、何を隠そう、筆者もそれをまねて七輪でシイタケを焼いてみた。だが、縮んで硬くなってしまい、全くの期待外れ。

 いつかあのCMで見たような、肉厚でジューシーなシイタケをゲットしたいと思っていたら、後にそれが「濃熟茸(のうじゅくたけ)」というプレミアムなシイタケだと判明。生産者は、シイタケ生産量日本一の徳島県にある「丸浅苑」。幸運にも、同社の湯浅明男社長とのご縁に恵まれたのだ。

 同社と徳島県立工業技術センターとの共同研究によって開発された、「濃熟仕込み」という特許を持つ特別栽培方法により生まれたこのシイタケ。菌糸密度が高いため、硬く身が詰まっているから、加熱しても縮み難いという。また従来のものと比べうま味成分や栄養成分が倍増しているそうで、濃厚な味わいが特徴。

 実際カサを下に、軸を上にして焼いてみると、カサの裏側のヒダヒダの中から、じわじわとシイタケエキスが浮いてきた。うま味が凝縮されているであろうその黄金色の汁を一滴もたらすまいと、丸ごとかじってみる。なるほど、ジューシーでもっちり、濃いうま味が口中に押し寄せてくる。

 ちなみに、美味な出汁(だし)が取れる干しシイタケのうま味成分はグアニル酸だが、生シイタケはグルタミン酸。うま味物質として世界で初めて昆布から発見された物で、以来それまでの酸味、甘味、塩味、苦味という4基本味に、五つ目の味「うま味」が加わることとなった。日本で発見されたため英語でもumamiと呼ばれるが、シイタケも英語でShiitakeだ。

 話を戻そう。あのCMが流れたのは秋だったが、やはりシイタケといえば秋の味覚というイメージ。だが、旬は秋だけではないとご存じだろうか? 原木に種菌を植え付ける原木栽培シイタケは、3~5月と9~11月に収穫され、旬は春と秋の2回。傷みやすいので、かつてはこの時期にしか食せなかった生シイタケ。屋内で天候の影響を受けずに育てられ、年間を通じて安定供給が可能な菌床栽培が確立し、いつでも生シイタケが食べられるようになった。

 同社でも、昭和53年のシイタケ生産スタート時は原木栽培だったが、平成4年に菌床栽培に移行。現在ではITを活用し、光や温度・湿度・二酸化炭素を管理することで、安心・安全な品質を確保。農産物の生産・品質管理体制を県が認証する制度「とくしま安2農産物」にも認定されている。

 シイタケには、エリタデニンというコレステロール低下作用物質や、抗がん剤に使われる成分レンチナンなどが含まれており、生活習慣病予防にも良いとされ、呑兵衛にはうれしい限り。今夜のツマミは、シイタケのバター焼きにしようっと!

 ※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。

 
 
 
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