先日、国政選挙も終わり、年末に向けて改正税法の動きも出てきた。われわれ、税理士はこの年末に出る、税制大綱(税制改正案)に毎年振り回されることになる。国民のための改正はいいが、特定の者だけが恩典を受けるような改正にだけはならないよう祈りたいものである。
さて、今回は、消費税の課税対象とそうでないものについて考えてみたい。読者の皆さんが、巷で物を購入した際に消費税は課税(かかる)が、そもそも消費税はすべてのものにかかるのだろうか。もちろん、そういう訳ではない。
例えば、印紙を購入した場合は、消費税はかからない。もっと身近なところで言うと、病院等で通常の診察を受けた場合などもそうだ。また、住居を借りた場合にその賃料にも消費税は課されない。社会政策的な観点や、消費に負担を求める税であるから、その性格になじまないものについては課税されない。これらの取引は非課税取引と呼んでいる。
ここで、一つ興味深い話がある。ある、事業者が通常人が住む(居住用)賃貸マンションを事務所代わりに借りた場合、何となく、消費税は課されるのではないかと思うかもしれないが、そうではない。契約において、居住用としている場合は、消費税は課されないのである。
それから、もう一つ消費税が課されない取引があるが、何であろうか。それは、輸出したときの取引が該当する。消費税法において、日本国内において取引が行われることが前提となっているので、国外に輸出等した場合は、当然のごとく消費税を課してしまってはおかしなことになる。これらを、輸出免税取引と呼んでいる。
消費税が課されない取引をとっても、非課税、輸出免税とあり、これらは、明確に制度が違うので、今一度、日々の消費税の取引を確認してみたいところである。
(髙村税理士事務所代表、髙村健一)