
今年のノーベル平和賞は、イラン人の女性ジャーナリストで人権活動家ナルゲス・モハンマディ氏(51歳)に授与された。平和賞の創設者A・ノーベルは「国家間の友好関係、軍備の削減・廃止、平和会議の開催・推進のために最大・最善の貢献をした人物・団体に授与すべし」と遺言し、1901年から授与を開始。近年は人権尊重や環境問題への貢献を重視している。平和賞の授与主体はノルウェー政府、団体も授与対象だ。
モハンマディ氏に対する授賞理由は「イランにおける女性への弾圧に抵抗し、全ての人々の人権と自由を促進するための闘いに対して」である。イランでは保守強硬派による独裁政権が反政府デモ弾圧を行っており、道徳警察が女性に対する自由抑圧を強化している。反政府デモのスローガンは「女性、命、自由」で、運動の指導者モハンマディ氏はこれまでに13回拘束、5度の有罪判決(量刑は合計で禁固31年)、むち打ち154回。現在でも刑務所に収監されており、12月10日の平和賞授与式への出席は困難。私のような軟弱な日本人男性にとっては想像を超える苛酷な人生を生きておられる女性である。
とはいえ、ジェンダーギャップ(男女格差)については日本もイランに近い、厳しい状況にあることを再認識し直す必要がある。スイスのシンクタンクWEF(世界経済フォーラム)は毎年、世界各国の「ジェンダーギャップ指数」を公表している。WEFは、政治、経済、教育、健康の4分野で国別の男女格差を数値化し、順位付けを行っている。政治では国会議員、閣僚、行政府首長の男女比、経済では労働参加率、勤労所得、管理職の男女比および同一労働における男女の賃金格差、健康では出生時の性比や健康寿命の男女比、教育では識字率、各種教育就学率の男女比など。
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