【私の視点 観光羅針盤 357】VFR需要再開、短期在住者に注目 吉田博詞

  • 2022年11月14日

 観光分野ではこれまでVFRといったキーワードの重要性が叫ばれてきた。Visit Friends and Relativesの略だが、これまでも大事な旅のカテゴリーとして認識されていた。下宿・留学先、赴任先、技能実習生、遠い親戚、昔お世話になった人等を訪問する旅のスタイルのことをいい、一般的な物見遊山的なものとは違ったスタイルをとるのが特徴だ。

 国内外の観光・移動需要も一気に動き始めている中で、VFR需要の動きは早い。約2年半以上の間、移動もしづらい中で、移動制限および感染リスクの配慮から控えていたものが、ここぞとばかりに動き始めている。長い間会えなかった、大切なあの人の様子を見に行く、お互いの近況報告のために訪問するという感情は抑えられないものだ。では、VFRのカテゴリーの特徴を整理してみたい。前提として「大切な人に会いに行くこと」が目的となる。

 (1)移動距離・時間の制限は小さい

 その人がいる場所であれば、少々時間やコストがかかっても、その人がいるうちに訪問したいと、限られた機会を有効活用しようとする。普段旅行をしない人でも、出かける理由をつくりやすいのが特徴だ。有名観光地でなくても、その人がいる場所が選ばれる。

 (2)日常に触れ合いたい

 暮らしている生活そのものを知りたい・感じたいといった感情が強いので、その人が暮らしている日常そのものを追体験しようとする。理解を深めることに比重を置くので、有名スポットありきでなく、時間を過ごすといった点も特徴として挙げられる。過度な演出より日常そのものに価値を置くのがポイントとなる。

 (3)一つのまちを拠点に

 (2)とも付随するが、日常に触れ合うだけで時間が過ぎていくので、あれもこれも複数の場所を巡るというより、大切な人が住んでいるまちを中心に滞在するというスタイルになる。複数の観光地を巡るより、一つのまちを拠点にじっくり時間を過ごすことになる。在住者自身が地元・近隣のスポットに普段なかなか行く機会がなかったりすることも多く、こうした機会で初めて各所を訪れることも往々にして発生する。

 これらの特徴が挙げられる中での対策も地域再生のカギになる。有名観光地だけでなく、学校や工場等があることや、外部人材の受け入れを積極的に行ってきたエリアであれば、これらの動きが拡大していくことは間違いない。

 地域に暮らす短期在住者は地域の水先案内人として、またアンバサダーとしての動きをつながりのある人にしてくれることを考えると、これらの人がよりまちに愛着を持ってくれる流れも今のうちに大切に温めていくことが非常に大事な展開となる。

 在住者が幸せそうにまちの紹介をしてくれれば、VFRの来訪者は新たに皆さんのまちのファンになってもらえるに違いない。ぜひともそんなファンづくりのサイクルをつくり上げることへの準備も、今のうちに手掛けてもらいたい。

 (地域ブランディング研究所代表取締役)

 
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