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10月4日朝、Jアラートの警報音が鳴り響いた。それは北朝鮮のミサイル発射に伴う警報だった。北朝鮮は9日深夜にも日本海に向けて短距離弾道ミサイルを発射した。これによって北朝鮮によるミサイル発射は巡航ミサイルを含めて今年25回目だ。
ロシアではプーチン大統領がウクライナ戦争の劣勢化に伴って核兵器使用をほのめかしている。軍事専門家は戦場単位で使用する射程の短い小型の戦術核兵器を使用する可能性が高いと警告している。全面戦争のための戦略核兵器ではないとはいえ、ウクライナ戦争が厳しい局面に入りつつあるのは事実だろう。一つ間違えば、第3次世界大戦を引き起こしかねない危険な兆候だ。
一方、中国では10月9日から中国共産党の中央委員会第7回総会が北京で開幕し、3期目入りが確実視される習近平総書記(国家主席)の一層の権威強化に向けた党規約改正案などが審議される。習氏は「祖国統一」を歴史的任務と位置付けており、台湾統一に向けて、どこまで踏み込んで発言するかが注目されている。
米国は米中対立をあおり、2極化路線(民主主義国家対権威主義的国家の対立)を主導しているが、必ずしも世界的に支持を得ているわけではない。世界各国はすでに2極化や3極化を超えて、より多様なかたちでの連携・連帯を模索している。米国国内ではいまだにトランプ人気が衰えず、バイデン政権は不安定なままである。
欧州においても極右勢力が伸長しており、ウクライナ戦争に伴うエネルギー危機や食糧危機などの影響でEU(欧州連合)の連帯も不安定化している。世界の貧困国では食糧不足による飢餓問題が深刻化し、気候変動に伴う環境破壊問題も危機的になっている。パンデミックによって世界的に貧富の格差が増大しており、世界の混迷化に拍車がかかっている。
日本では安倍晋三元首相の暗殺後に、まず旧統一教会(世界平和統一家庭連合)問題が政界を大きく揺るがし、安倍元首相の国葬騒ぎで国論が二分されるとともに、東京オリパラ汚職問題によって日本の恥部が明るみに晒されている。
アベノミクスによる大胆な金融政策の結果としての異次元円安によって諸物価高騰が生じており、給料も年金も増えないままに庶民の暮らしを直撃している。岸田政権は「新しい資本主義」を看板政策にしているが、中身が明確にならないままに、内閣支持率が急降下しており、迷走を繰り返している。
日本では自民党の佐藤栄作氏、中曽根康弘氏、小泉純一郎氏による長期政権の後に短命政権が続いた。そのため7年8カ月に及んだ第2次安倍政権の後にも短命政権が続くというジンクス(悪縁起)が語られている。現に安倍政権を引き継いだ菅政権は1年で終わった。
岸田政権は日本政治の「負のスパイラル」を克服できるだろうか? いずれにしても、迷走を続ける日本では観光立国政策は当分の間、棚上げされる可能性が高い。観光業界は自助努力で頑張り続ける必要がある。
(北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授)