【私の視点 観光羅針盤 284】世界の中のニセコの可能性 北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授 石森秀三

  • 2021年4月26日

 日本経済は新型コロナウイルス禍で戦後最大級の打撃を受けたが、最初の緊急事態宣言発令から1年を経ても、なお本格回復からほど遠い状況のままである。感染収束の兆しはなく、内需の柱となる個人消費は観光・飲食を中心に振るわないままだ。例えば、北海道では2020年度の道内宿泊客数は前年度から6割近くも減少しており、数多くの宿泊施設が四苦八苦している。

 そういう状況の中で北海道のニセコ・エリア(倶知安町とニセコ町)だけは、感染収束後を見据えて、外資系最高級ブランドホテルの進出ラッシュが続いている。ニセコ・エリアの五つの主要スキー場のうち、最大規模の花園とニセコグラン・ヒラフは倶知安町、ニセコビレッジ、アンヌプリ、モイワはニセコ町に位置している。

 花園は東急が開発したが、04年に豪州資本が買収し、07年に香港大手通信会社PCCWグループが再買収して、20年1月に「パークハイアットニセコHANAZONO」を開業。「パークハイアット」はハイアットホテルアンドリゾーツの中では最上位の超高級ブランドホテル。

 ニセコビレッジは、82年に西武系のコクドとニセコ町が第3セクターを設立して開発したが、06年に西武が全施設を米国シティグループに売却し、10年にマレーシアの財閥系大手企業YTLコーポレーションが買収し、20年12月にマリオット・インターナショナルの最上級ブランド「リッツカールトン・リザーブ」を開業。

 YTLは今後マリオットのライフスタイルホテルブランドの「Wホテル」やブティックホテルブランドの「エディションホテル」などを富裕層向けにニセコビレッジで開業予定。

 モイワでは、既にシンガポール資本のチャータードグループが約400億円を投じて「ニセコモイワスキーリゾート」の開発を手がけており、23年にアマンリゾーツと組んで世界最高級の「アマンニセコ」を開業予定。

 併せて英国のインターコンチネンタルホテルズグループは遅ればせながら、ニセコグラン・ヒラフの近くで最上級ブランドホテル「シックスセンシズホテルズリゾートスパ」を24~25年に開業予定で開発に着手することを公表している。

 ニセコ・エリアは世界に誇り得る「パウダースノー」がキラーコンテンツになって、アジアの超優良企業による開発投資の対象になり、外資系最高級ブランドホテルが次々に開業している。

 良質で最上級のホテルコンドミニアムは国内外の富裕層にとって投資対象になっており、ブランド化の進展で資産価値の上昇が生じ、投資が投資を呼ぶ好循環が生み出される可能性がある。また新幹線の延伸、高速道の延伸なども予定されている。

 とはいえ、地元住民にとっては地価高騰・物価上昇、外国人急増による軋轢(あつれき)などの生活課題があり、また開発と環境保全のバランス保持、オールニセコ体制の構築、不動産売買の適正な規制、地域の将来ビジョンの策定など諸々の地域課題の解決が不可欠になっている。

(北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授)

 

 
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