【私の視点 観光羅針盤 234】東京五輪延期とコロナ不況 北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授 石森秀三

  • 2020年4月6日

 ついに東京五輪延期が正式決定され、来年7月の開幕が決まった。五輪が戦争で中止になった例はあるが、延期は史上初めてのケース。世界中で新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)が大流行しており、止むを得ない措置だ。3月末に米国のコロナ感染者数が13万になり、イタリアではコロナによる死者が1万人を超え、共に世界最多を記録。今や米国とイタリアが新たなパンデミック(世界的大流行)の中心地になっている。

 世界の感染者は70万人を超え、今後は貧困国での感染拡大が危惧されている。貧困国では内戦や気候変動で人道危機が生じ、医療崩壊が深刻化しているためにコロナ感染拡大に伴って、弱い立場の難民や女性・子どもが甚大な被害を受ける可能性が大である。先進国は貧困国における健康危機の克服に対して国際協力すべきだ。

 先進国においてもコロナ不況が深刻化しており、巨額の公的資金を投入して緊急経済対策を講じている。米国は経済対策法案を成立させ、GDP(国内総生産)の約1割に当たる2兆2千億ドル(約237兆円)を投入して、家計への現金給付や企業支援を行い、11月の大統領選に向けて、景気悪化の長期化回避を図っている。

 日本政府もGDPの約1割に相当する56兆円規模の緊急経済対策を検討している。国民への現金給付、中小・零細企業への資金繰り支援強化、また外国人観光客激減で打撃を受けた観光・旅行業への支援として「プレミアム付き旅行券」の発行や業績不振企業を対象にした1社200万円の給付金も検討されている。

 コロナ不況は全業種に深刻な影響を与えており、企業倒産や従業者解雇などに対して的確に支援体制の強化を図る必要がある。しかし緊急経済対策のための財源として赤字国債の発行が検討されており、次の世代に大きな負担を与えることも事実だ。

 3月29日の北海道新聞朝刊に「旅人(あなた)を待つキモチ」と題する全面広告が大々的に掲載された。
広告を出したのは、「大自然体、北海道」アライアンスメンバー(ハマノホテルズ、万世閣ホテルズ、十勝川温泉第一ホテル、知床北こぶしグループ、ホテル大雪グループ、トーホウリゾート、鶴雅グループ)であった。

 広告は「今、旅は『必要』『火急』とはいわずとも、その社会的役割は『重要』だと思います」で始まり、中略、「私たちはただ、ココロの密閉を解くために旅へ出る人が、安心して日常から離れ、心地よくお過ごしいただくため、ホテル内の万事に手間を惜しまず、お待ちし続けます」と呼びかけ、五つの手間(消毒強化、空調管理、接触感染防止、お客さまの体調不良への速やかな対応、従業員の体調管理)を詳しく説明している。

 ホテルキャンセルが相次ぐ中、公的支援に頼るだけでなく、アライアンスを組んで「人間にとっての旅の重要性」をアピールする広告は高く評価できる。

(北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授)

 
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