【私の視点 観光羅針盤 231】プロモより販路・流通整備を 地域ブランディング研究所代表取締役 吉田博詞

  • 2020年3月16日

 着地型体験商品造成の現場の実態として、商品を作りモニターやファムトリップをして、商品のタリフまではまとまるが、どこでどう売るかを決めていないというケースがよくある。

 事業予算の立て付け上の制限で、難しいこともあるという理由は理解しているのだが、あまりにもったいないし、予算仕様と別扱いで地域側は考えておくべきだと感じる。そうでなければ作っただけで、地域に眠っているということになる。

 併せて、せっかく商品を作っても、広報・プロモーションが別のチームでリンクしていないケースもよく見かける。行政の部署の縦割りや事業予算の出どころ等、背景の問題であることも重々承知しているのだが、あまりにもったいなさすぎて、工夫すればもう少し改善できるはずなので、何とかならないものかと痛切に感じる。

 理想形でいうと、地域の未来像として、ターゲット像、提供価値、来訪数、消費単価、域内調達率等のKPIが明確に打ち立てられ、現状とのギャップをどう埋めるかの施策としての造成・流通・販売という流れが確立され、それが常に検証されていることが望ましい。ただ、あまりに流通や販売という概念が乏しく、その検証もなされていないことに課題を感じる。

 観光協会やDMOのサイトに載せて販売しようとの話も聞くが、認知や流入自体が少ないサイトに載せてどの程度の効果が見込めるだろうか? ある種、ほとんど人の来ない田舎の商店の棚に、新規商品を並べても意味がないことと同じだろう。それに比べると、OTAはそもそも顧客を抱えてもいるし、特定の地域や商品のテーマに興味がある人が探してくれているという点で、誘客の可能性は増すだろう。

 昨今、OTAの販売手数料が上がって辛いという声も聞くが、何百何千万円もする映像や広告を投下して数万人にリーチしたけれど、来たのはたった数人という結果もよく聞く。であれば、プロモーション費用の一部を販促費としてOTA手数料の補充に充てたり、そもそも高い手数料をとられても元が取れる商品や値付けにすればいいだけの話ではないだろうか。

 これからは、プロモーションにお金をかけて誘客を狙うより、中長期のポジショニング戦略をもとに自社・自地域の差別化要素を明確にし、販売戦略を打ち立て、顧客がいるところの流通の流れに乗せていくことが大事だ。そして、まずは最初の【1】売れる実績を作ること、そこで見えた課題を改善して【10→100】に拡大していくPDCAを高速で回し続けていくことが求められるだろう。

 OTAだけが万能でもない。観光案内所、ホテル、クチコミサイト、海外旅行会社等、潜在客へのリーチポイントはたくさんある。それぞれの顧客特性をイメージしながら、自社・自地域との相性を見極めて販路・流通のネットワーク構築をしていければ、着実に人が来てくれ、地域経済の安定化につながっていくと確信している。

 (地域ブランディング研究所代表取締役)

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