【私の視点 観光指針106】観光地域づくりマネージャー 清水慎一

  • 2017年7月2日

 観光圏は、国内外からの観光客の2泊3日以上の滞在型観光の実現に向けて、広域的な連携による観光地域づくりの取り組みを支援する制度だ。2008年に施行された「観光圏整備法」に基づき国土交通大臣により認定される。

 同年発足した観光庁にとって、観光圏は観光政策の大きな柱を成すものだっただけに、当時は所管の観光地域振興課を中心に大いに気合が入っていたものだ。そのためか、観光圏整備実施計画認定地域は、一時49カ所にも上った(12年4月時点)。

 しかし、認定観光圏の中には圏域が広すぎて一体的な取り組みができない事例や、組織や中核人材が不明確で持続的な観光地域づくりを推進する体制ができていないなどの事例が続出した。このために、12年に基本方針を見直した。

 見直しは、圏域の整理や地域住民の観光地域づくりへの参加など多岐に渡ったが、特に課題だった推進体制に関しては、「観光地域づくりマネージャー」とその活躍の場である「観光地域づくりプラットフォーム」の設置を新たに義務づけた。

 「観光地域づくりプラットフォーム」とは、地域の基本計画の策定・共有、マーケティングの実施、および地域全体のマネジメント機能などを確保する法人で、観光庁の登録を受けたものとした。今の「日本版DMO」を先取りしたものだ。

 「観光地域づくりプラットフォーム」で中核的に活躍する「観光地域づくりマネージャー」は、「観光地域づくりが目指すべき方向性について関係者との合意形成を行い、具体的な事業を担う者」と定義し、民間人を基本に観光庁の一定の研修を受けた者から登録することにした。

 このように推進体制に関するハードルを上げた理由は、観光地域づくりの成果を上げるには地域をマネジメントする組織が不可欠であり、その組織が機能するには地域の将来を見据えて持続的に取り組む民間人材が不可欠だと考えたからだ。

 しかし、その結果多くの観光圏、とりわけ行政主導の観光圏が脱落した。今では13地域が認定されているだけだが、新たなハードルを克服した雪国や八ヶ岳などの観光圏が成果を上げ、日本版DMOのモデルになったことは周知の通りである。

 成果を上げた最大の要因は、「観光地域づくりマネージャー」という民間人材の位置づけを明確にし、事業遂行責任者にすると共とに、各種連携の橋渡し役としたことだ。だから、研修では地域の未来を担う高い志を徹底的に教育した。

 この結果、八ヶ岳の小林昭次さんを筆頭に千年ロマンの三浦孝典さん、海の京都の森美忠さん、香川の三谷雄治さんなど地域に根差した志あるマネージャーが続々と誕生した。観光庁の研修に毎年関わっている筆者としてはうれしい限りである。

 観光地域づくりの要諦は、中核人材の育成・確保だ。地域に根差した志の高い民間人をリーダーとして位置づけ、じっくりと盛り立てていくことが肝心だ。人材がいないと嘆く地域は、「観光地域づくりマネージャー」制度を参考にしてほしい。

(大正大学地域構想研究所教授)

 
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