【特集 専門紙の視点で見る群馬県前橋市の「デジ田」】過度な車依存から脱却 MaaS等で公共交通推進 東京交通新聞


「共同経営」で協力し合うバス各社の車両

 前橋市は過度なマイカー依存から脱却しようと、バスなど公共交通機関の利用をさまざまな角度から推進している。施策の柱は、MaaS(マース=モビリティ・アズ・ア・サービス、移動サービスの連携・統合)システムの構築と、路線バス事業の「共同経営」だ。「市民に移動の選択肢を増やし、利便性を高めていく。街中の面白い店舗やイベントとセットで、都市の魅力の向上につなげたい」(南雲貞人・未来創造部交通政策課総合交通係長)と掲げる。

 MaaSに関し、今年3月、群馬県が前橋市の「MaeMaaS(マエマース)」を引き継ぎ、「GunMaaS(グンマース)」として刷新した。県と市が手を携え、2025年度の本格開始に向け、準備を急いでいる。同市にとっては、高崎など周辺エリアへのアクセスが強化されるなどのメリットがある。

 スマートフォン用のウェブサイトが提供されており、鉄道、バス、デマンドバス(予約制・乗合形態)、シェア自転車などの経路検索ができる。デマンドバスの予約やタクシーの配車注文、鉄道・バス1日乗車券の購入も可能だ。

 県人口191万人、前橋市人口33万人に対し、登録者数は県外を含め6千人ほど。経路検索は未登録でも使える。

 マイナンバー(個人番号)カードと交通系ICカードの連携が特色の一つ。南雲氏は「ICのID番号とマイナンバーの居住地、生年月日をクラウドに上げ、ひも付けしている。デマンドバスで割引が受けられるが、これを拡大し、敬老割や学生割、乗り継ぎ割、共通定期などができないか検討している。障害者の情報をひも付ければ、障害者割も導入できる」という。

 共同経営では、独占禁止法の特例措置を活用し、複数の事業者間で発着時刻を調整している。主要区間の「前橋駅―本町―県庁前」(本町ライン)で昨年4月から、運行する6社(関越交通、群馬バス、群馬中央バス、上信電鉄、永井運輸、日本中央バス)が等間隔運行を実施している。市が間に入っている。

 従来、6社11路線が重複し、時間帯によっては同時刻で出発したり、30分以上の間隔が空いたりと非効率な面があった。運行間隔を最大15分に調整。JR前橋駅の鉄道ダイヤとの接続も考慮した。

 市内全体の路線バスの22年度利用者数は215万8411人で、新型コロナウイルス禍前の19年度と比べ13%減。本町ラインはコロナ前を上回り、69万5123人(19年度68万9081人)だった。

 南雲氏は「明らかに利用が増えている感覚がある」と成果を強調。「6社が連携を意識するようになり、『路線名や系統番号を統一しよう』『英語で車内案内をやろう』みたいな話が出て、すでに実行している」と意気に感じている。

(東京交通新聞)


JR前橋駅北口。上方に大きな横断幕を掲げ、「等間隔運行」をアピール(7月27日)


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