【特別対談】北海道 層雲峡観光協会 西野目会長 × 北海道 上川町 佐藤町長

  • 2021年9月22日

佐藤町長(右)と西野目会長(左)

コロナ疲れ、大自然で癒そう

 「カムイミンタラ(神々の遊ぶ庭)」と呼ばれる大雪山国立公園。その観光の拠点となる層雲峡温泉は今年、命名100周年を迎えた。コロナ禍で苦しい状況にあるが、アフターコロナ時代への布石を着々と打っている。上川町の佐藤芳治町長と層雲峡観光協会の西野目信雄会長(ホテル大雪)に層雲峡の魅力、新たな取り組みなどを語っていただいた。司会は論説委員の内井高弘。(9月上旬、町長室で)

 

 ――町の観光業はいまどんな状況ですか。

 佐藤 コロナ禍で観光業のダメージは極めて大きい。心が折れて挫折してもおかしくない状況だが、西野目会長を中心によく頑張ってくれており、感謝しかない。今まで経験したことがないだけに、ここから学ぶこともたくさんある。それをどう生かしていくかだ。先が見えないのがきついが、別な意味でチャンスと捉え、新たな観光施策を考えていきたい。

北海道上川市町長 佐藤芳治氏

 

 西野目 業界は頑張っているというのが偽らざる気持ちだ。感染者が減り、ワクチン接種も進んで先が見通せれば施策を打てるが、そこができないのがつらい。インバウンドが消滅し、道外客も減った中で、道民を地域で奪い合っているのが実情。緊急事態宣言が1日も早く解除され、人の交流が活発になることを願うばかりだ。

層雲峡観光協会会長 西野目信雄氏

 

 ――Go Toトラベルのような観光支援策への期待が大きい。

 西野目 これまでのような全国一律は難しいと思う。47都道府県に原資を配り、土地柄に合わせて予算を消化してもらうことも検討していい。その意味では知事の観光に対する力量が問われる。また、業界も声を上げ、言うべきことを言わないとだめだ。

 

 ――今年は層雲峡命名100周年です。

 西野目 明治の文豪、大町桂月が大正10年8月に当地を訪れた際、滞在先であった塩谷温泉(現層雲閣グランドホテル)の宿主である塩谷水次郎さんから頼まれ、当時の「ソウウンベツ」という地名からこの地を層雲峡と命名したのが始まりとされる。

 旅行に対する意識も様変わりし、これまでの延長線上では生き残れない難しい時代だ。大雪山や層雲峡だけでしか体験できないモノやコトを提供していくのが大事になってくる。五感で得られる感動をデジタル技術を駆使して商品化することも考えていきたい。

 先人たちが築いてきた礎を受け継ぎながら、大雪山国立公園の恵みを生かした地域づくり、日本を代表する山岳リゾートとしての観光地づくりを目指して、住民の方々と共に努力を積み重ねていきたい。

 佐藤 先輩たちの苦労は大変なものがあったと思う。残してくれた財産を無駄にはしない。新しい時代に向け発展していくために、知恵と工夫で乗り切る。観光の価値を高め、新たな視点で見せていきたい。

 

 

 ――コロンビアスポーツウェアジャパンに続き、近くクラブツーリズムとも連携協定を結ぶと聞いています。積極姿勢が目立ちますね。

 佐藤 大雪山国立公園の自然は素晴らしく、これほどダイナミックな観光資源はない。そこに魅力を感じ、イメージ向上につなげようという企業戦略がある。コロンビアの進出はまさにそれだ。クラブツーリズムに限らず、教育機関のインフィニティ国際学院とも連携協定を結ぶ。新しい風を取り入れることで活性化を図っていく。

 「北の山岳リゾート」を目指すため、層雲峡をスイスの山岳観光地・ツェルマットのような場所にするのが私の夢。山岳だけでなく、ラフティングやカヌーなどアドベンチャーツーリズムも育ちつつある。積極的な連携協定で魅力の幅を広げていきたい。

 西野目 上川大雪酒造の誕生、フレンチレストラン「フラテッロ・デイ・ミクニ」の誘致など、町長は新しい風を起こしてくれ、とても感謝している。自然の魅力を生かした町づくりである「北の山岳リゾート」構想は理想的なビジョンであり、差別化の武器にもなる。実現に向け、観光協会も協力を惜しまない。

 

 ――2018年度に「カムイと共に生きる上川アイヌ~大雪山のふところに伝承される神々の世界~」として日本遺産にも認定されています。世界遺産は狙いませんか。

 佐藤 世界遺産は名誉だが、何かと制約も多く、維持していくのに大変だという声も聞く。層雲峡の良さを引き出し、地域振興につながるのは、自然と人間社会の共生を目指す「ユネスコエコパーク(生物圏保存地域)」だと思う。北海道には1件もなく、関係機関などとの相談のうえ、登録第1号を目指して取り組みたい。

 西野目 現在、国内で登録されているのは志賀高原やみなかみ、甲武信など10地区ほどと聞いている。道内初となればインパクトもあり、観光面でも大きなメリットがある。

 

 ――層雲峡ならではのイベントといえば「氷瀑まつり」ですね。

 西野目 北海道三大冬まつりの一つで、今シーズンは来年の1月29日から3月13日まで開催する。コロナ対策には万全を期して臨む。イベントは続けるのが大切。いったん止めると再開するのが大変だ。形を変えながらでもやり続ける。知床や網走、阿寒でも冬のイベントを予定しており、それらと連携して、周遊に役立つイベントとして展開したい。また、紅葉のライトアップイベント「奇跡のイルミネートⅣ」は9月18日から10月17日まで開催。今年はエリアを拡大し、さらにパワーアップする。日本の紅葉は層雲峡から始まる。見事な紅葉を楽しんでいただきたい。

 佐藤 氷瀑まつりは47回目になる。半世紀にわたり続けていることはすごいことで、関係者の皆さんに敬意を表したい。町にとって大きなイベントだ。

 

 ――アフターコロナに向けた意気込みを。

 佐藤 町の財産はこの雄大な自然。それを生かしたまちづくり、観光振興に取り組む。その中心となるのはまさしく人。19年度から町の魅力づくりを担う「地域おこし協力隊」を積極的に採用する一方、移住定住促進プロジェクト「KAMIKAWAWORK」を推進している。若い人も育ってきており、われわれが気づかない素材を掘り起こしてくれる。働きやすく住みやすい環境を作り、しっかり応援していく。それが観光振興にもつながると信じている。

 西野目 層雲峡観光はリアルエージェントの力を借りて発展してきた。ローカル温泉地はエージェントの力が欠かせない。OTAの台頭やコロナによる影響で苦しい立場にあるが、だからこそ腹を割って、共に生き残る道を話し合うべきで、そうした取り組みを進めたい。また、アフターコロナ時代は人手が足りなくなるだろう。働き手をどう確保していくかが重要で、当館は外国人スタッフを採用するなど先手を打っている。

 佐藤 山岳リゾートの雰囲気を発信するため、来年から職員の軽装化に踏み切り、ポロシャツで働けるような職場にしたい。一つ一つ変えていく。

 西野目 当館もフロントスタッフはネクタイをしていない。お客さまはリゾート地に来ているのだからリラックスしていただけるのが一番。堅苦しい服装はリゾート地に似合わない。

 

佐藤町長(右)と西野目会長(左)

 

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