【焦点課題】Origami 事業開発ディレクター 伏見慎剛氏に聞く

  • 2019年4月8日

伏見ディレクター

Origamiの取り組み

消費をキャッシュレス化 決済データ使い販促活動

 ――現在の取り組みは。

 「Origami(オリガミ)の創業は2012年2月。スマホ決済サービス『Origami Pay』は15年10月に開始した。ユーザーはクレジットカードや銀行口座を登録することでキャッシュレス決済が可能となり、即時割引が可能なクーポンを利用したお得な買い物が可能となる。また、加盟店側はOrigami Payの決済データをもとに販促活動につなげることができ、顧客とダイレクトでパーソナルなコミュニケーションが可能となる」

 ――地方創生は。

 「青森県との事例はとてもうまく進んでいる。地銀や観光連盟、自治体、商工会議所などと手を携えて、キャッシュレスのインフラを整備し、現在は人を送り込み消費を喚起する取り組みを進めている。昨年12月から今年3月にかけては、JR東日本グループと共同で青森県内のキャッシュレス化を推進する実証実験『あたらしい青森』キャンペーンを実施し、Origami Pay利用者への半額クーポンやJR東日本グループ共同企画割引クーポンの提供などを行った。茨城県とは1月15日に連携協定を締結。キャッシュレス推進や観光消費を目的に19年4月から本格的に取り組む。また、茨城県とは前倒しして偕楽園の水戸の梅まつりの期間に訪れた人の地域での購買活動を促進するため、近隣の特定エリアでしか使えないクーポンを発行し、地域に滞在して消費してもらう施策を実施した。同クーポンは、エリアを縛り、特定の店でしか使えないところがポイントで、地域消費に大きく貢献した。このほか、大分県、福岡市、大垣市、浜松・浜名湖DMOとも連携し、キャッシュレス化を進めている」

 ――地域との連携は。

 「現在は、信金中央金庫と提携し、全国の258金庫から業務提携の申し込みを受けている。各地域でセミナー開催などの活動を行うことで、Origami Payの導入を決定した加盟店は3万社に届く見通しで、地方銀行との口座連携も順調に推移している。地域と伴走する人たちの力は大きく、今後は消費増税に伴う還元対策に関連して、地域の中小事業者への導入が進むのではないかと考えている」

 ――地方の観光をさらに活性化するには。

 「『域内の消費をキャッシュレス化し便利にすること』『域外の人が訪れた時に消費が地域に落ちること』『海外の人が来た時に自国で使っている支払い手段が使えること』の三つをしっかり捉え進めることだ。お客さまを送り込むところは難易度が高く、行こうと思っていない場所に行かせるためにはさまざまな切り口が必要となる。達成するには当社単独でなく、地域で活躍する企業の皆さまと共に啓蒙し続けて初めて実現できるものだ。訪日客に関しては、中国人に対してアリペイ、銀聯(ぎんれん)と連携し対応しているが、今後は台湾など他の国の決済サービス事業社と連携し利便性を高めていく。人の移動と消費喚起は密接。いろんなアングルで提携を行いながら地域の消費喚起を図っていく」

 

 ――地方に何が必要か。

 「地域の中小事業者が競争力を持つ状況を作らなければならない。大手はITやPRに多額の投資ができるが、中小事業者にも身の丈に合ったIT武装、PR手法を届けていきたい。例えば、当社のダッシュボード機能を使えば、決済情報の見える化を可能とするだけでなく、決済者に向けた来店促進のメールや割引クーポンの発行などCRM機能が簡単に利用できる」

 ――他社との違いは。

 「当社はオープン、ローカル、グローバルという事業戦略を実施している。さまざまな企業や地域の皆さまと連携を進めることで日常の決済として認知いただけるように努力している。主語はOrigamiではなく、地域を担う人たちだ。地域が主体で動く中、ソリューションを金融事業者として提供していく。関係者を巻き込んでいくのが当社の戦略であり、担いでいく人を増やしていく」

 ――キャッシュレス市場をどう見ているか。

 「EC市場は約14兆円の市場規模があり、限られたプレイヤーが市場を取り合ってきた。オフラインにはさらに大きな市場がある。個人消費は300兆円以上、小売りだけだと約140兆の規模感が日々の決済で起きる中で、スマホ決済の経済圏のサイズが全体の中で小さすぎる。いろんなアングルで取り組んで初めて大きくなる」

 ――今後の取り組みは。

 「まだやりたいことは1合目。お金を取っても支払いはまだ一部分。今後は、お客さま同士で送金や割り勘したりできるほか、残高運用、前借りできるサービスの実現を目指す。そしてサービスを磨き、事業者にはサービスを導入することで客が増える状況を作る。将来的には47都道府県と何か取り組む状況を作り上げる。また、政府が掲げるキャッシュレス比率『2025年40%』の目標にも貢献していきたい」

ふしみ・しんご=早大卒後、リクルート(現リクルートホールディングス)入社。中小企業支援サービスの新規事業開発に従事。2012年10月から現職。

【長木利通】

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