【焦点課題】農協観光社長 藤本隆明氏に聞く

  • 2019年4月15日

藤本社長

創立30周年を迎えて

記念事業は3本柱で 農泊推進へ積極関与

 ――今年、創立30周年を迎えます。

 「昭和42(1967)年に前身の社団法人全国農協観光協会が発足、平成元(89)年に旅行事業部門を分離独立する形で株式会社農協観光が設立された。新元号が決まる年に節目の30周年(10月20日)を迎えるのは感慨深い。まさしく平成とともに歩んできたといえる」

 ――総合旅行業者ですが、他の旅行業とは立ち位置が違いますね。

 「農家、JA組合員の旅行を通した余暇の充実、生活文化の向上に貢献するのが当社の役割。一方で、全国に87の直営店舗と、パートナーである約100のJA旅行センターで47都道府県をカバーする総合旅行業の顔を持つ。地方にきめ細かな拠点を持つ数少ない旅行会社といえる。旅行商品としては、地産地消をテーマとしたイベント『まるごと食の旅』を毎年、北海道と沖縄で実施している。また、宿泊プランは09年にツアー・オブ・ザ・イヤー国内旅行部門でグランプリを獲得した『こだわりの宿』を基幹宿泊商品として販売している。その他、14年にフードアクション日本審査委員特別賞を獲得した『JAこども村』(子どもたちが農山漁村の暮らしを体験する旅行)の取り組みも行っている」

 ――18年度の営業成績はいかがでしたか。

 「具体的な数字はとりまとめ中だが、取り扱い685億円程度を見込んでいる。前年度比5%減だ。うち、国内取り扱いは600億円ほどだ。7月の西日本豪雨や9月の台風、北海道胆振東部地震など自然災害の影響を受けた。下期はかなり取り戻したが、上期の落ち込みをカバーするには至らなかった」

 「この災害により、農産物だけでなく、田畑などの農地やハウスなどの施設が被害を受け、農家の方々の生活まで影響を及ぼした。当社もJAグループの支援隊の一員として社員を派遣させていただいた」

 ――4月から中期経営計画(中計=NTOUR WAY Challenge)がスタートしました。

 「テーマは、食と農を基軸に、ホスピタリティある、地域に根ざした旅行会社として『将来実現したい姿』に挑戦する、とした。旅行や催しを通じて食と農の理解促進や農業、地域を応援する企画提案を重視する。中計の期間は3年が一つの目安となろうが、当社は2年プラス1年と設定している。市場の環境変化が早く、3年目を目標とするのは現実的ではない。まず2年間やって、残り1年をやり残したもの、あるいは新しいものに取り組むという考えだ」

 ――19年度の目標は。

 「取扱計画値は715億円とした。内訳は国内616億円、海外81億円、インバウンド18億円で、伸び率的にはインバウンドが最も大きい」

 ――19年度は30周年記念がメインとなりますが。

 「昨年10月からプレとしてスタートしており、この4月から1年間が本番という位置付けだ。取り組みの柱は三つで、(1)本社(全国)(2)全国7統括事業部(3)支店―で企画し、実施する。例えば、本社ではお値打ち宿泊プラン(感謝祭)、五穀豊穣の神様である豊受大御神を祭る伊勢神宮(外宮)を正式参拝する『JA豊年講』、フジドリームエアラインズ(FDA)チャーター、特別列車・観光列車貸し切り―など」

 「列車については、すでにJR西日本の『トワイライトエクスプレス瑞風』のツアーが決まっている。海外ではホノルルで実施するイベント『ふれあいカーニバル』やベトナム航空のチャーターも予定している」

 ――農泊による地域交流事業が注目されています。農水省はビジネスとして取り組む地域を500カ所創出する計画です。

 「この事業は当社が積極的に関わるべき仕事だと思う。すでに農泊に取り組む全国の20余りの地域でコンサルやセミナー、研修会などを実施し、受け入れのための体制整備や人材育成などの支援を行っている。また、日本ファームステイ協会を立ち上げ、農泊による農山漁村の所得向上や地域の活性化に向けた支援にも取り組んでいる。今後、漁村地域(渚泊=農泊のうち漁村地域における滞在型旅行を渚泊という)との連携も進めていきたい」

 ――インバウンドについては。

 「欧米豪のFIT、マレーシアを中心としたアジアの団体旅行をメインに展開。観光旅行に加え、農泊を主体とした企画を提案、販売し、地方誘客へ力を入れている」

 ――農旅連は御社にとってどんな存在ですか。

 「旅連と協力みのり会はなくてはならない存在。ホスピタリティを維持、向上していくにはこれら組織の協力なしではできない」

 ――あえて求めることは。

 「農泊とは農家や古民家に泊まるということだけではない。旅館・ホテルに泊まって、地域で農業体験や行事に参加し、地域の方々と触れ合うことも農泊。『宿泊+農業体験の宿泊プラン』や『旅館+農家民宿の連泊プラン』の造成を開始した地域も出てきている。現在、20余りの地域の農泊事業に携わっているので、農旅連、みのり会の皆さんに積極的に関わっていただければと思う」

ふじもと・たかあき=1978年社団法人全国農協観光協会入会。以後、株式会社農協観光徳島支店長、経営企画部長、常務取締役などを経て、2013年一般社団法人全国農協観光協会代表理事専務。14年4月から農協観光社長。大阪府出身、65歳。

【内井高弘】

 

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