【焦点課題】京都市観光協会 会長  田中誠二 氏に聞く

  • 2020年8月25日

田中誠二会長

オール京都体制を推進

観光課題の解決先進都市に 四つの「D」をマネジメント

 ――6月11日付で京都市観光協会(=DMO京都)会長に就任された。抱負を。

 「新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、数年来、好調に推移していた京都の観光需要は、前代未聞の危機的水準まで落ち込んでいる。京都の数々の歴史文化行事も中止や延期を余儀なくされている。このような時期に、また京都市観光協会創設60周年の節目の年に会長に就任し、身の引き締まる思いだ。この状況から力強く復興するために、会員の皆さまとスクラムを組み、行政、商工会議所、大学といった各ステークホルダーと連携しながらオール京都体制での施策推進が必要だ。特に当協会は国内最大規模の1500会員を擁するDMO(観光地域づくり法人)であり、8月3日には、観光庁の『重点支援DMO』32法人の一つに選定された。観光課題の解決先進都市として世界に範を示すべき重大な役割を担っている。『持続可能で満足度の高い国際文化観光都市』の実現に向けて、イノベーティブに取り組んでいきたい」

 ――DMO京都は、京都で観光に携わる23の業界団体に呼び掛けて「より一層『安心・安全』な京都観光を実現するための新型コロナウイルス感染症対策宣言(ガイドライン)」を策定し、7月15日に発表した。宿泊、バス、タクシー、土産、料理、花街など観光関連のさまざまな団体が名を連ねている。

 「京都市内の総生産における粗付加価値に占める観光関連消費の比率は12.4%と高く、市内企業の従業員数の20.7%は観光関連で働いているというデータが示す通り、京都市域における観光関連産業はとても裾野が広く、業界の垣根を越え、一丸となり安心・安全対策に取り組んでいく必要があると考える。この京都版ガイドラインは、(1)観光客だけでなく、住民や従業員の安心・安全を守ることを目指す(2)業界を横断して、デスティネーションとしての安心・安全を守ることを目指す(3)感染症対策と京都らしいおもてなしの融合を目指す―の3点を特徴としている。本ガイドラインに賛同、順守する事業者には専用ステッカーを配布し、店頭にご掲示いただいている」

 ――コロナ対策のオンライン研修にもいち早く取り組んだ。

 「京都市内の宿泊施設、小売店、飲食店、観光施設などを対象に、観光客減少期の対策、事業継続計画(BCP)の活用などを専門家講師から学んでもらう動画配信による無料講座を3月25日から始めている」

 ――「ウィズコロナ時代への適応を目指した京都観光における事業展開(ロードマップ)」をDMO京都として7月14日に発表した。

 「ウィズコロナ時代に適応したDMOを体現するために、四つの『D』をマネジメントすることを掲げた。すなわち、ディスタンス・マネジメント(衛生対策、旅マエ体験の充実による社会的距離適性化)、デジタル・マネジメント(デジタル技術の活用推進)、デマンド・マネジメント(需要の分散化、ロイヤリティの高い観光客への資源集中)、デリバリー・マネジメント(地域住民や在日外国人などを起点にした情報の伝達)の4Dだ」

 ――デマンド・マネジメントでは、具体的な新しいターゲット層を設定した。

 「昨年度に実施した大規模調査の結果を踏まえて設定した。従来型の地域や性年代などの属性別の分類ではなく、価値観や行動様式による分類を導入。京都が掲げる『持続可能で満足度の高い国際文化観光都市』の実現に貢献する旅行者像を『無形資産に価値を見いだし、新しい体験に投資し、成長を楽しむことを重視する人』と想定し、従来の『首都圏や欧米豪を中心とした富裕層』といったターゲット層にこれを追加した」

 ――教育旅行の重要性は。

 「昨年は70万4千人の修学旅行生が京都を訪れた。京都観光にとって教育旅行市場は最重要市場の一つだ」

 ――観光業界に向けてのメッセージを。

 「テクノロジーが進歩しても、人と人との交流の中から新しい価値感や活力が生まれるという観光の本質は変わらない。新しい生活様式に適応しながらも、この本質を大切にして共に頑張っていきましょう」

たなか・せいじ=1957年、京都市生まれ。コーネル大学ホテル経営学部卒、コロンビア大学経営大学院MBA。1981年1月学校法人大和学園(京都栄養医療専門学校、京都調理師専門学校、京都製菓製パン技術専門学校、京都ホテル観光ブライダル専門学校)に入職、2007年学園長、2013年理事長に就任。現在、京都商工会議所副会頭、全国栄養士養成施設協会副会長、全国調理師養成施設協会副会長、全国学校法人立専門学校協会理事、京都文化交流コンベンションビューロー副理事長、他多数。

【聞き手・江口英一】

 
 
 
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