【焦点課題】クラブツーリズム 代表取締役社長  酒井 博 氏に聞く

  • 2020年10月7日

酒井社長

新社長が挑む成長戦略

テーマ型商品の地盤固める 「新・クラブ1000構想」に挑戦

 ――新社長に就任して約3カ月たったが。

 「近い位置でお客さまに支えられていることが改めて分かった。コロナ禍で先の景色はまだはっきりと見えていないが、お客さまとの近さという尖った強みを生かして反転攻勢に出なければならない」

 ――足元の動向は。

 「新型コロナウイルスの影響で海外旅行が皆無となった。ここ数年の売上高ベースでいうと、1600億のうち650億を海外旅行が占めており、これは大きな痛手となっている」

 ――海外から国内への誘導は。

 「国内向けの高単価ツアーが好調だ。海外旅行は2人で約100万円の商品が売れていた。海外旅行中心の顧客にとっては、国内旅行で2泊3日20万円のツアーは決して高くないはずだ。今は、都内23区からハイヤーを使って箱根で泊まるといった個人型からグループ旅行まで、きめ細かく提案している。10月1日からは従来、海外旅行を担当していた社員の9割を国内旅行に配置転換した。コロナ禍を機に国内旅行を整備し、テーマ型商品の地盤を固める」

 ――Go Toキャンペーンの販売状況は。

 「8月中旬以降は順調に推移し、売り上げのほぼ全てと言っていい。現在はひとり旅、高級旅館利用、長期滞在、ハイキングなど、密を避けた19人以下のツアーへの申し込みが多く、全体の8割を占めている」

 ――感染症対策は。

 「独自の感染予防の取り組みを制定した新基準のツアー『クラブツーリズム ニュースタイル』を全ての商品に導入している。また東北大学と連携し、誰と旅行をしているかが明確な『特定少数』のグループ旅行を共に説いている」

 ――コロナ禍で主な顧客であるシニア層の動向は。

 「正直まだまだ鈍いが、感染症対策など安全安心が感じられる商品から戻りつつある。一方、今後は主な顧客である65歳から74歳の人口がなだらかに減っていく。10年後には団塊ジュニア世代がこの年齢層に入り増加に転じるが、10年をただ待っていてはじり貧になる。限界点が75歳といわれる健康年齢の枠を超え、80歳を超えても楽しめる旅を打ち出すなど、客層の幅を広げていきたい」

 ――業界全体の市況をどうみているか。

 「4、5月はどん底だったが、Go Toが始まり観光業は全体的に良くなり始めている。当社もまだ底を脱したとは言えないが、なだらかに回復基調にある」

 ――新たな成長戦略は。

 「約20年前に趣味コンテンツのコミュニティーを創る『クラブ1000構想』に取り組み収益化モデルにはできなかったが、今回新たに『新・クラブ1000構想』として再挑戦する。まずは、ハイキング、登山、歴史、写真、鉄道といった趣味のコミュニティーをオンラインでつなぎ、プラットフォームに乗せていく。構想の実現に向けて営業企画部を新設し、プロジェクトチームを結成した。将来は有料会員を設けるなど、マネタイズできるように、今は仕組みを作っている」

 ――1千種作るのか。

 「1千という数字は、数多くのコミュニティーを創造するという気持ちの表れだ。前回はマネタイズできなかったが、財産として今の主力商品であるひとり旅や四国お遍路、ハイキングなどのテーマ商品を生んだ。例えば、鉄道やアニメは子どもから大人まで楽しめる。構想は、新たなテーマ商品作り、新規顧客化、リピーター化へとつなげていく」

 ――近畿日本ツーリスト(KNT)との連携は。

 「個人旅行はもちろんのこと、KNTの団体系との親和性も高い。KNTは自治体をはじめ、映像制作会社など、さまざまなジャンルの会社とつながっている。全国各地でのコミュニティーの掘り起こしや外部連携などで、『新・クラブ1000構想』の共創も含めて連携を深めていく」

 ――人材育成は。

 「全国各地の観光組織や自治体などと連携し、若手社員が勉強する機会を設けたい。これまでは何をするにも自前主義で、悪く言えば鎖国状態だった。ライバルはツアーの企画、販売をするリアルエージェントだけでなく、今はOTAも大きな競合だ。彼らは地域と協働し、多様で多彩な事業を起こして新たなビジネスへとつなげている。まずは、地域のお手伝いをしながら関係性の構築や他組織における運営手法などを学んでほしい。『新・クラブ1000構想』とつなげ、全国の地方自治体に強固なネットワークの構築へとつなげる」

 ――その他の課題について。

 「ウェブ販売のさらなる強化だ。機関誌『旅の友』をはじめ、まだまだ紙媒体が中心でアナログな仕事が多い。旅の友はコロナ禍で5~7月は休刊としたが、紙媒体はコストが高く、機動力も弱い。ウェブの売り上げは全体の4割と増えつつあるが、ウェブと親和性が高いテーマ商品を多品種少量販売で展開し、7割まで引き上げる」

 ――中長期での展開は。

 「『新・クラブ1000構想』を一つの柱として育てていく。ウェブやアプリを使ったベンチャービジネスが生まれているが、当社でも外部と連携して新たなビジネスを作り上げていきたい。訪日旅行の分野では、コミュニティーの国際化を図り、国ごと、市場ごとの嗜好に合った商品を開発し、相互交流やチャーター事業などを展開したい」

さかい・ひろし=1992年4月に近畿日本ツーリストに入社し、クラブツーリズム執行役員国内旅行部長などを歴任。2017年10月からKNT―CTホールディングス執行役員国内旅行部長に就任。2020年6月から現職。【聞き手・長木利通】

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