【焦点課題】エアトリ 代表取締役社長兼CFO 柴田裕亮氏に聞く

  • 2021年3月17日

柴田社長

コロナ禍からのリ・スタート

得意分野生かし経済圏拡大 需要をクロスセルで収益化

 

 ――コロナ禍の最中だが、足元の動向は。

 「国内旅行は10月からGo Toトラベルを潮目にして徐々に戻った。10~12月の第1四半期では約6、7割まで回復した。1月以降は、感染の第3波の影響で一段下がったが、2月中ごろからは3月、GWの予約も入り回復傾向にある」

 ――観光、旅行業界の市況をどう捉えているか。

 「厳しい環境が続いている。特に大半を出張ユースが占める国内航空券への影響は大きい。現在はリモートワークの普及も影響し、一定割合の需要が喪失している。一方、レジャーは海外が国内に流れ、10~12月は活況だった」

 ――Go To再開時に向け、再開後の自動割引を打ち出したが。

 「早速効果が出ている。5月、夏の注文も入り出し、満室の宿泊施設も近いうちに増えてくるはずだ」

 ――以前はエアトリ5000を掲げていた。

 「19年から24年までの5カ年計画で、取扱高5千億円を目指すというものだった。航空券とDP商品(エアトリプラス)でシェアを高めるほか、インバウンド回復期での需要を獲得するなど、1年半から2年をかけてコロナ前の取扱高約1500億に戻していく。将来的には国内、海外の取扱高の比率も以前の50対50まで戻す」

 ――昨年の通期決算発表時には第2ステージとして「リ・スタート」を掲げたが、何を進めているのか。

 「まずは販管費、固定費のマイナス施策に取り組み、大きな効果を出している。旅行事業ではコスト構造の改革に注力し、販管費は10億から4億強まで抑えた。前々期には広告費をマスやウェブを中心に年間60億を使い、認知度を1年で20%弱から約45%まで上げたが、認知度の持続やオーガニック検索の増加など一定の効果が出ていることから、今後は回収フェーズに入る。人件費など固定費は、コロナをきっかけに抜本的に改革した。休業の部分もあるが、従業員をグループ内で配置転換を行うほか、投資先の資本業務提携先に出向するなどリソースを再配分できている」

 ――現在の従業員数は。

 「グループで約1300人、旅行事業で約300人だ」

 ――資本金を約34億から1億に下げたが。

 「銀行団や監査法人とも相談しながらかなり保守的に落とした。前期にこれ以上はないぐらいの多額の減損を行った。今期以降は黒字を見込んでいる。コロナ前の月間取扱高は約100億以上であったが、現状の月間損益分岐点取扱高は30~40億まで改善。今年の10~12月の国内の回復で損益分岐を超えてきた。エアトリ経済圏のポートフォリオの再構築も進み、旅行事業に続く事業も伸びている。今後の見通しは悪くない」

 ――新たに打ち出したエアトリ経済圏ではどの部分に注力をするのか。

 「得意分野であるウェブのマーケティングや、ベトナムにも拠点があるシステム開発の二つは生かしていく。エアトリ旅行事業だけでなく、訪日旅行・Wi―Fi事業、ITオフショア開発事業、昨期に上場したグループ子会社のまぐまぐを生かしたライフイノベーション事業、ヘルスケア事業、投資事業の六つの事業を核に、アセット活用による多角的な事業展開を推進していく。投資は、インバウンド、海外旅行の回復期まで見据えたもの、地方創生としての素材発掘、開発など、さまざまな業界へ支援をしている」

 ――旅行外事業では。

 「ヘルスケア事業は、感染の第3波でPCR検査数が増えるなど、クリニックの稼働率も高まっている。根源的には旅行需要の回復フェーズや需要が戻った際にクロスセルで収益を取っていきたい。旅行会社、航空会社との提携も進んでいる。ITオフショア開発は、リモートワークの流れの中でオフショアでの開発への抵抗感がなくなり、追い風が吹いている。システム開発、インバウンド事業については、IPOを2年以内に実現したい」

 ――エアトリサイトで力を入れているところは。

 「サービス、サポート情報の提供に力を入れて開発している。KPIは、UI、UXの改善によるCVRを一番大事にしている。また、KPIを分解し、情報を過不足なく伝えた上で、お客さまが迷わずに購入できる仕組みを構築している」

 ――グループの課題は。

 「大きく二つある。旅行事業は、需要回復期を捉えることが大事。人材が流動化しており、回復フェーズに合わせて体制を再構築する。マーケティング、開発面は、一部絞ってはいるが、費用対効果も合わせながら、良いタイミングで投下していく」

 ――今後の展開は。

 「エアトリが便利でお得であることをどれだけ訴求できるかだ。これに即したマーケティングプランを考ええていく。ポイント、クーポンなどを使いながらアプリに誘導し、リピート率も高めていく。クロスセルは世界的にOTAが採っている戦略だが、エアトリの中で航空券以外にホテル、保険なども組み合わせる中でアップセルもしていく」

 

しばた・ゆうすけ=東京大経済学部卒。監査法人トーマツを経て、2015年5月に同社取締役CFOに就任。19年1月に同社代表取締役CFOに就き、20年1月から現職。

【聞き手・長木利通】

 

 
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