【焦点課題】インバウンドプラットフォーム 代表取締役社長 王 伸氏に聞く

  • 2021年8月25日

王氏

コロナ危機での事業転換

事業の方向転換でコロナ前水準に アウトドアをプラットフォーム化

 ――現在主に取り組んでいる事業について。

 「主軸として(1)キャンピングカー事業(2)Wi―Fiレンタル事業(3)在留外国人向けライフメディアテック事業―の三つの事業を推進している。キャンピングカー事業は、2015年の創業時から行うもの。米国のレンタルキャンピングカー最大手であるエルモンテRV社の国内総代理店を務めるなど、米国、カナダ、豪州、ニュージーランドで、日本人が海外で使用するレンタルキャンピングカーの取り次ぎをしてきた。海外のキャンピングカーを取り扱う会社としてトップシェアを占めている。現在は、国内で自己保有するキャンピングカーのレンタルもしている。Wi―Fi事業は、(1)リモートワーク(国内)(2)海外渡航(3)インバウンド―の三つの需要向けにWi―Fiのレンタルをしている。ライフメディアテック事業は、昨年の10月ごろから始動。在留外国人に向けて生活支援につながる情報発信を行いながら、医療機関、不動産会社、通信会社など他社サービスとの取り次ぎをしている。このほか、訪日旅行のコンサルティング事業、日本の自然や文化、食など魅力を発信するオウンドメディア『JAPAN WEB MAGAZINE』(月間約200万PV)を運営するメディア事業などを行っている」

 ――全体から見た現在の取り扱いの割合は。

 「Wi―Fi事業が約5割、ライフメディアテック事業が約4割、キャンピングカー事業が約1割だ」

 ――足元の業況は。

 「現在は、コロナ前の売り上げを上回る水準まで来た。コロナ禍が本格化した昨年4、5月は、売り上げはほぼゼロにまで落ち込んでいたが、事業を方向展開することで、今期から順調に回復を遂げた」

 ――コロナ禍の厳しい状況から変わった潮目は。

 「大きく二つある。一つ目はWi―Fi事業で、これまで海外渡航、インバウンドを中心にレンタルを行ってきたが、リモートワーク需要が旺盛となった国内の法人向けに切り替えた。現在は、月間1万以上のWi―Fiをレンタルしている。もう一つは、ライフメディアテック事業による在留外国人マーケットへのアプローチだ。コロナ禍で市場規模が約4・8兆円と言われるインバウンドがほぼ消滅した。だが一方で、国内には約288万人の在留外国人がおり、市場規模は約4・9兆円とほぼ同額ある。現在の利用者数は、月間2、3千人(新規8割、リピーター2割)と全体のまだ0.1%に満たないが、今後の成長の余地は高い。これまでは『訪日』を対象にしていたが、ニッチマーケットであった『在留』にシフト、集中投資することで事業を拡大できている」

 ――観光業界は全体として厳しい状況にあるが、どう捉えているか。

 「足元で言うと、インバウンド、海外渡航マーケットは、引き続き厳しい状況が続いている。これは各社どこも同じはずだ。今後、国内では日本人の国内移動が徐々に戻り、キャンピングカーのレンタルなどアウトドアへの需要がさらに高まるだろう。インバウンド、海外渡航については、ワクチン接種の状況次第だが、来年から徐々に戻り始めると予測している」

 ――直近では、日本全国のレンタルキャンピングカーを検索、予約できるプラットフォーム『キャンピングカージャパン』をオープンした。狙いは。

 「マクロ視点でいうと、アウトドアやキャンプというキーワードは、昨年末から聞こえるようになった。キャンピングカーを扱う事業者は中小が多いこと、需要と供給がミスマッチ、情報が点在していたことから、(1)情報の集約(2)お客さまと事業者のマッチング(3)予約のオンライン化―を可能にするプラットフォームを昨春から準備を始め、今年6月に立ち上げた。サービス開始後約2カ月で閲覧者は月間1万人まで伸び、今後の需要を想定すると、成長の余地はかなり高い」

 ――親会社であるエアトリとの連携について。

 「エアトリのプラットフォームは、ユーザー数が多く、広く周知をする能力も高い。グローバルナビゲーションのカテゴリー内に『キャンプ』を作るなど、認知、触れる頻度を高める施策をとっている」

 ――今後、観光関連事業で挑戦したい領域は。

 「大きくは三つある。一つはキャンピングカージャパンを切り口に、キャンプ場、アクティビティの予約やキャンプグッズのレンタルなどをも集約したアウトドアのプラットフォーム化を進めたい。二つ目は、Wi―Fi事業で再訪するインバウンド需要を獲得すること。最後に、インバウンド向けにメディアの力を伸ばしていきたい。また、バーチャルで日本の良さを海外に発信できる事業などにも挑戦していきたい」

 ――今後の展望について伺いたい。

 「コロナ禍の収束後は、これまでの強みであったインバウンドの反動需要が見込める。先5年で、現在の10倍の取扱高まで十分狙えるはずだ」

おう・しん=慶應大卒業後、税理士法人トーマツに入社。KMPG税理士法人を経て、2014年11月にエアトリ企画室室長に就任。18年8月から現職(17年12月からエアトリ取締役COO)。

【聞き手・長木利通】

 
 
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