【焦点課題】藤田観光 代表取締役社長 伊勢宜弘氏に聞く

  • 2019年6月26日

伊勢社長

藤田観光 新社長の取り組み

時代の変化に柔軟対応 訪日個人宿泊客が好調

 ――3月27日、社長にご就任された。抱負を。

 「10数年ぶりに藤田観光のプロパーから社長が誕生したことになる。ワシントンホテルを振り出しに主に宿泊部門に携わってきた。現場が最大限の力を発揮できるように本社としてバックアップし、現場寄りの経営を心掛けていきたい」

 「訪日外国人旅行客数の拡大は宿泊業界には追い風だが、同時に競争も激化している。宿泊施設にはラグジュアリーから民泊までさまざまなバリエーションが存在し、カテゴリー間競争も起きている。新しいカテゴリーにも挑戦していく」

 「日本のインバウンド目標人数は2020年に4千万人、2030年に6千万人だが、現状、まだまだ大都市圏に集中している。リピーターを中心に地方にも宿泊していただけるように努力し、政府目標の達成に貢献していきたい。そのためにも、地方空港のさらなる発着便数拡大には期待をしている」

 ――ホテルだけでなく旅館にも注力している。

 「当社は箱根町で60年以上、リゾート事業を行ってきた。17年4月に箱根小涌園に全150室の湯宿『天悠』を開業し、新たな旗艦施設とした。箱根ホテル小涌園の再開発も計画中だ。由布院と伊東で小規模旅館『緑涌』を運営しており、地方のインバウンド宿泊の受け皿としても機能している」

 ――社史に「1949年箱根小涌園の第1号温泉噴出」とある。

 「小涌園開業後に温泉を掘削し、箱根小涌園は現在も全て自家源泉で営業している」

 ――宿泊事業は旅館から始まっている。

 「明治・大正期の藤田財閥の本宅が、現在は大阪で結婚式場・レストランとして営業している『太閤園』、東京の邸宅が『椿山荘』、箱根の別荘が『箱根小涌園』だった。藤田家の資産を広く一般に利用していただこうということで、宿泊や婚礼などの事業を始めたのが、藤田観光のはじまりだ」

 ――伝統のある会社だが、次々と新しい取り組みに挑戦している。

 「今後ますます増大するムスリムのインバウンド客に対応するため、ハラール食対応の和食レストラン『折紙』を18年7月に浅草で開業した。藤田観光全体で厳格なムスリムのお客さまに今後どのように和食をご提供していくのかを探るパイロット店舗と位置付けている。施設内に礼拝室も設置している。今年5月には、『日本文化の魅力を発信する取り組みであること』と『外国人にとっての言語の壁を取り除く取り組みであること』が評価され、観光庁が推進する『beyond2020プログラム』の認証を取得した」

 「グランピング事業も2カ所で展開している。静岡県『藤乃煌 富士御殿場』では、コンテナを改造したキャビン型のグランピングスタイル宿泊施設20棟を昨年4月に開業。また、北欧アウトドアブランドのノルディスク社と提携し、長崎県五島列島の福江島で、廃校となった小学校の校舎をレストランに、校庭にはテントを10張設置し、『Nordisk Village Goto Islands』として昨年9月に開業した。潜伏キリシタン関連遺産として世界遺産に登録された教会群などの観光も魅力だ。このような新規事業への取り組みは、コト消費を志向する国内外客の宿泊ニーズに対応するために必要だと考えている」

 「7月26日には永平寺門前に『親禅の宿 柏樹関』が開業する。和洋室18室で、旅館のような快適な設備・サービスの中、禅の世界を体験できる。大本山永平寺がオーナーで藤田観光が運営する。地元福井の山海の幸を使った本格和食や永平寺が監修した精進料理を提供する。曹洞宗の海外寺院はハワイや欧米の各地にあり大本山の『ZEN』体験を目的とするインバウンドにも期待している」

 ――インバウンド宿泊客の状況は。

 「18年の宿泊延べ人数は前年比7.7%増の187.5万人。インバウンド比率はグループ全体で約45%に上る。その80%がFIT(個人客)だ。今年4月、中国で上海に次ぐ2番目の営業拠点を広州に開設した」

いせ・よしひろ=1983年学習院大学経済学部卒、藤田観光に入社。2003年リゾートカンパニーレジャー事業部企画室長、08年キャナルシティ・福岡ワシントンホテル社長兼総支配人、15年取締役企画グループ長、17年代表取締役常務、18年同専務を経て、19年3月より現職。59歳

【聞き手・江口英一】

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