兵庫大学現代ビジネス学部教授である著者は、日韓において観光産業や地域の観光振興に関する現地調査を長年行ってきた。ポストコロナ社会の新たな観光の在り方を提示するの使命だと悟り、社会学と観光人類学で培った理論とフィールドワークの研究成果と日本と韓国において、理論と実践を交差させた教育経験の結果をまとめた。
章は「持続可能な観光と観光教育」「地域資源の観光資源化」「伝統文化の観光化」など。「エコ・ツーリズム」や「ヘルス・ツーリズム」「フード・ツーリズム」などの定義や課題も示した。
最終章では「観光危機と新たな観光スタイル」にも言及。コロナ禍の観光危機を克服するための兵庫県・湯村温泉の取り組みや、「マイクロ・ツーリズム」や「ステイケーション」「ワーケーション」といった新たな観光スタイルを紹介する。観光危機を克服するための課題としては、「他地域との差別化」「着地型観光の実践」「新たな観光ビジネス戦略」などを挙げた。
著者は「まずは、国内観光の推進による観光産業の雇用維持や観光地の活性化を図ることが急務である」と指摘している。
発行は溪水社。定価は1800円(税別)。