「OTAは規模の大小に関わらず、経営者は伝統的旅行会社よりも莫大な収入を得るようになった。一般労働者は低収入であっても、日常業務がルーティンとして構築できているから、それが不満で辞めようが、次つぎに代わりが入ってくる。それでなんの問題もない。その原資はそれこそ旅館、ホテルといった宿泊業からの手数料だが、これも年々高くなってきている」
「結局、ツーリズム業界に関わるすべての人が、観光への愛着も生まれず、搾取され続ける構図が見事に構築されてしまった」
「ツーリズム業界に関わるすべての人が、それを喜びとし、価値をともに創発していけるような環境を作っていかなければ、この業界は確実に衰退する。その危機感から本書の構想が始まった」~以上、「はじめに」より抜粋。
本書は、ツーリズム産業に現在従事する人々とこれからこの業界に身を置きたいと願う志の高い学生たちへのエールだ。業としての「サービス」の本質に立ち返り、顧客との価値共創の主体としての「人」が持つ力に焦点を当てることで「復権」を目指す。著者陣はそうした思いを共有して執筆した。
定価2500円(税別)。全198ページ。21年12月18日発行。発行所は成山堂書店TEL03(3357)5861。