
ソムリエがワインを語る表現力の豊かさには圧倒されます。言葉を駆使する力を磨き、使いこなす姿はまさにプロ意識の塊のようです。
不定期放送ですが、興味深く見ているBS番組があります。テーマとして掲げたある食材を使い、「あて」を料理研究家がその場で作り、それに対して最適な飲み物を提案するという内容です。「あて」とは、酒のさかなのことで、関西地域でよく使われ、酒に「あてがうもの」から来た言葉との説もあります。
出演者の1人であるソムリエは、装飾的な言葉を発するわけではないのですが、その飲み物の特徴を伝える表現が実に的確です。ワインだけでなく、日本酒、焼酎、洋酒全般、ビールなどすべてのジャンルを網羅する、豊富な知識に裏づけされた解説に思わずうなってしまいます。紹介されるおいしそうな「あて」をお供に、「それ、飲んでみたい!」との衝動に駆られるほどです。
店頭で、お客さまへお茶の特徴をきちんとお伝えできているだろうかと自省し、言葉の難しさ、接客の大切さを改めて感じています。
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テレビドラマでお茶を淹(い)れる場面が出てくると、思わず見入ってしまいます。大抵ポットの熱湯を直接急須か土瓶へ注ぎます。また、急須にお茶が残っている中途半端な注ぎ方です。おいしくお茶を淹れるシーンを期待しても無理なのでしょうか。それとも意識するほどでもないと捉えられているのでしょうか。お茶を淹れる場面が出てくるだけでも良しとすべき時代なのかもしれませんが、寂しい限りです。
片やワインを注ぐ場面では、しゃれたグラスと丁寧な所作が当然のように映されます。意識して制作すべきと思われているのでしょうか。自国の文化は軽く、外国、時に欧米の文化は高貴らしいとの思いからいまだ抜け出せないところがあるのではと残念な思いです。
ここにも日本茶インストラクターとして果たすべき役割がありそうです。