【日本茶インストラクターが勧める 素敵なお茶生活 42】思い出がいっぱい、わが家の海苔缶 繁田聡子


 感染症の予防には、うがいと手洗いが基本。そのうがいをより効果的にするにはお茶を利用するのがお勧めです。お茶に含まれる「カテキン」が効果を発揮することはさまざまな研究結果からも証明されています。しかもウイルスの型に関わらず効果があるのです。また、予防だけでなく、風邪をひいて喉が痛いときや咳が止まらないときもお茶でうがいをすると口の中がすっきりします。

 ただ残念なことに、一つだけ欠点があります。それは洗面所が茶渋で結構汚れるのです。お茶でのうがいの後は、そのつど水を流し、軽くスポンジなどで拭くと茶渋対策になります。

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 花粉症という言葉が使われるようになる以前から私は春先になると、くしゃみと目のかゆみに悩まされていました。40年ほど前に「それって花粉症と言うらしいよ」と、誰かに言われた記憶があります。体はだるく、鼻水は止まらず、目は剣山で刺したいくらいのかゆさでした。紅茶用品種「べにふうき」を緑茶の製造方法で仕上げることにより抗アレルギー作用のあるメチル化カテキンが増え、花粉症やほこり対策として有効とされています。野菜茶業研究所を中心とした2001年以来の研究開発の成果です。

 花粉を感じ始める頃から、新茶が始まる頃まで、べにふうきの粉末を熱湯で溶かし、日に3回以上飲み続けます。水色は濃いのですが、さっぱりとした風味です。花粉が飛散するピーク時期には内服薬も兼用し、目薬も手放せませんが、べにふうきのおかげで花粉シーズンの憂鬱(ゆううつ)が軽くなりました。

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 わが家の食卓を語るには、40年近く使い込んだ古い海苔(のり)の缶ははずせません。ゴミとして出しても何の違和感もないような古さですが、家族との思い出が詰まった大切な物です。多少凹んでいても、絵柄が薄くなっていても、防湿性が高いので重宝しています。大判の焼海苔一帖(10枚)を4分の1の大きさに切って、乾燥剤と一緒に入れておくと、結構なスピードで減っていきます。焼海苔はキッチンばさみを使わなくても「折る」だけで、簡単に二切(半分)、四切(四分の一)、八切(八分の一)と小さくできます。

 子供たちに続き孫たちも、この海苔缶を指さし、1歳になる前から体を揺らして喜びます。子供はなぜこんなにも海苔が好きなのでしょう。お店でも、「孫が来ると海苔があっという間になくなってしまうのよ。束になったこのきず海苔にするわ」とのシルバー世代の多いこと。

 幼い頃の私も実は海苔が大好物でした。母が作った料理以外はほとんど口にしないような神経質な子供だったので、小学生の頃に夏休みなど親戚宅に泊まりに行くときはいつも海苔の缶がお供。焼海苔もありましたが、福岡地方は味付け海苔が多かった記憶が残っています。お中元、お歳暮などでいただく海苔もうれしく、おやつ代わりに食べるほどでした。大人の会話から耳にする「おちゅうげん、おせいぼ」とは海苔のことなのだと思い込んでいました。有明海が近いという地域性もあったのでしょうが、贈り物といえば海苔が多かったような気がします。  

 
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