
子どもの感性の豊かさには、驚かされます。「杉並知る区ロードクラブ」の活動の一環として、小学校5、6年生のメンバーにお茶の話をしてほしいと、近くの小学校の先生から春先に熱心なご依頼がありました。
「店先で、しかも途中、電話や接客で中断するかもしれませんが、それでもよろしければ」「新茶販売が一段落する5月下旬でしたら」とお受けしました。夕方、授業を終えた子どもたちが10人ぐらいずつ、2日に分けてやって来ました。
お茶にまつわる伝説や茶の木や種類などの話とお茶の淹(い)れ方を伝え、お茶を飲んで解散。その時間、ほんの30、40分ほど。「分かってくれたかな?」と思っていたら、後日、先生が子どもたちの感想文を持ってきて下さいました。小学生の受け止める力に驚くやら、うれしいやら。一部、ご紹介します。
「私はハーフなので、日本人が『このお茶のうまみはいいね』などと言っていて、飲んでみると、においが強く、とてもにがくて、日本の人は、にがくて、まずいことがおいしいと言っているのでおかしいと思っていました。けれど『うまみ』の意味を教えてもらってからは、お茶への味覚の感じ方が変わったと思います」
「私はふだん、ペットボトルのお茶しか飲まないので、どんな味なのか楽しみでした。実際にいれてもらったお茶を飲んでみてちょっと苦かったですが、後の味はおいしかったです」
「ふだん何気なく毎日のように飲んでいるお茶も今回教えていただいたことを思い出しながら飲みたいと思います。教えていただいたいれ方をしてみたいと思います」
「昔は口に毒が入った時にお茶の葉を漢方薬として使われていたと知り、人々にとってお茶を飲む以外にも薬として使うという大切な役割があるので興味がわきました。おいしいお茶のいれかたをやりたいと思います」
「私はあまりお茶は飲みませんが、お店で飲んだお茶はとてもおいしくもっともっと飲みたいくらいでした。神農(しんのう)(注)もきっとお茶の葉でみんなを幸せにしたかったんだと思います。私が今度お茶をいれる時は、お茶の葉の量とお湯の温度をよく注意したいと思いました。ありがとうございました。これからもがんばってください」
こちらこそありがとう!
(注)「神農」とは中国の神話上の帝王。薬草を見分けるため、百草を食べ、毒にあたった時は茶の葉を口にし、解毒したとの伝説がある。農業と医薬を司る神。