
マレーシアの海外旅行意向
マレーシアでは2020年3月に国境が閉ざされるとともに都市閉鎖の実施、その後、新型コロナウイルスの感染状況に応じた活動制限により感染拡大が抑制・鎮圧されてきた。しかし、21年1月13日、感染者数の急増を受け、クアラルンプール首都圏などで再び都市封鎖が実施され、厳しい措置の効果もあり、1日の新規感染者数は徐々に下降線をたどっている。活動制限の内容も順次緩和されているが、現在も濃厚接触者追跡アプリの利用やマスク着用の徹底などにより感染拡大防止に努めている。
21年3月時点で自由に出国できない状況が続いているが、マレーシア人の訪日旅行の意向にどのような変化が見られるのだろうか。当所では、一般消費者および旅行業界関係者(旅行会社、航空会社)を対象に20年12月から21年1月にかけてオンラインアンケート調査を行ったので、その結果を紹介したい。
一般消費者(回答者1036人)を対象に実施したアンケートでは、海外渡航が不可能な状況下においても66.8%が「感染リスクを避け、海外旅行解禁後3カ月以降に検討する」と回答しており、海外旅行意欲は高い。海外旅行先として日本が一番人気で、旅行先としては北海道が1位、2位に関西と続き、九州・沖縄など地方へ関心も寄せられていることが分かった。加えて、自然景観や日本食などのコンテンツが変わらず人気で、関心事には大きな変化はないようである。
旅行業界向け(回答者87人)に実施したアンケートでは、「日本は安全で清潔」と見られており、「訪日旅行・路線は引き続き、強い販売意向があり、海外旅行解禁後すぐの販売再開を希望」しているとの回答が得られた。今後の訪日旅行に対する変化については、「有望なターゲットは30~50代の所得が見込める世代で、同行者は家族」、「少人数の家族・友人・カップルによる個人旅行へのシフトが加速」すると見られている。また、一般消費者と同様に「日本食、四季、買い物など日本で体験したいコンテンツは変わらない」とされている一方「衛生面の配慮やウイルス対策全般に加えて、自然やアウトドアに関心が高まっている」といった回答であった。
感染拡大から1年を経た中でも、旅に対する人々の思いは不変であり、海外旅行先としての日本への関心と、日本の安全で清潔なイメージは健在だが、コロナ禍で旅の重要性やニーズが改めて見直されている今、感染防止対策の徹底と情報提供が欠かせない。
今後は安心、安全を担保した「新しい旅のスタイル」が求められていることを念頭において、ウィズ・アフターコロナの消費者心理をつかみ、変わらない日本の魅力と併せて新たな地域の魅力を訴求するなど付加価値の高い旅を創造し、旅のチカラでマレーシアと日本を元気にしていけるプロモーションを展開していきたい。