歴史文化、食、自然の体験が鍵
「日本は夢の旅行先。訪問地を検討するうえで、日本ならではの体験をしたいが、どこか良いところがあるか」。イタリアで旅行イベント参加者から頻繁に受ける質問だ。2023年暦年の訪日イタリア人数は15万2305人とコロナ前の2019年の9割以上まで回復。2024年に入ってからは単月で過去最高を更新する月もあり、暦年として最高記録が視野に入るほど好調に推移している。イタリアからの訪日行程の定番は、東京から富士箱根、高山、金沢、京都、大阪、広島といった主要観光地を巡るルートだが、最近のイタリア人の期待はその先の「体験」に向いている。
ここでの「体験」とは何か。イタリア人が旅行先を選ぶ際に重視する点について、ヒルトングループの調査によると「ずっと行きたかった場所」「異なる文化を知る新しい体験」「新しい食体験」が上位であり、ヨーロッパ観光委員会の調査では「文化と遺跡」「自然とアウトドア」に関する体験も人気だ。
JNTOローマ事務所でも、これらの歴史文化、食、自然といったテーマを活動のポイントとしている。例として、イタリア人が歴史や日本の精神性に関心が高いことから、昨年に禅に関するイベントをメディアを対象としてミラノで実施した。参加者には僧侶の指導を受けながらの禅体験が好評で、メディア各社は禅体験ができる日本各地の寺を紹介記事にしている。
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