【日本ふるさと紀行 37】塩沢宿(新潟県南魚沼市)~「北越雪譜」鈴木牧之の生誕地 旅行作家 中尾隆之

  • 2018年11月19日

雪に育てられた織物と宿場の町並み

 新潟県南東部の上越地方は名だたる豪雪地帯。スキーのメッカで名高いが、なかでも塩沢は雪と寒気の中、千年以上前からの縮(ちぢみ)と紬(つむぎ)の里で知られている。また江戸後期の文人・鈴木牧之(ぼくし)のふるさととして知る人ぞ知る町である。

 上越線塩沢駅からつむぎ通りを歩いて4~5分。平成20年に外観や意匠を統一し、白壁と木造りで再現した美しい町並みがある。

 電柱も目障りな看板もなく、風雅な家々が450メートル余り。かつて江戸と越後を結んだ三国街道によみがえった趣ある民芸調のたたずまいは目を見張るほど。都市景観賞など数々の賞を受けた風雅な町並みである。

 雪国建築特有の雁木や格子窓の商店、銀行、薬局などの店構えに足を止めつつ心地よく歩いた。

 郷土の誇る先人へ敬意をこめて名付けられた牧之通りで、案内板に従って道を行くとすぐに大きな建物の鈴木牧之記念館があった。

 館内には雪の観察や雪国の暮らしを詳細に記述し、江戸時代のベストセラーとなった名著『北越雪譜』の初版本や遺墨、秋山郷の資料などを展示。「我越後のごとく年毎に幾丈の雪を視ば、何の楽き事かあらん…」の一文にも触れた。この書は民俗学的にも評価が高い。

 牧之が商用で出かけた江戸で山東京伝や滝沢馬琴、十返舎一九、葛飾北斎ら当代一流の文人との交流があったことを展示で知った。

 牧之が塩沢に生まれたのは明和7年(1770年)。縮問屋と質屋を兼ねた裕福な商家で、20歳で後を継いだ長男の牧之は家業にしっかり励みながら、俳句や絵画、書物に打ち込んだ。

 旧町役場前には業績を讃えて『北越雪譜』の碑、鈴木家の菩提寺の長恩寺には、73歳で亡くなった牧之の墓がある。

 ひと冬に10メートル以上の積雪があるという塩沢にまもなくその季節が到来する。それを克服した暮らしや「雪ありて」の越後縮が輝く時である。

 (旅行作家)

 ●塩沢商工会TEL025(782)1206

 
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