【日本ふるさと紀行7】松江(島根県)~小泉八雲ゆかりの地 中尾隆之

  • 2017年8月14日

夕映え美しい水豊な城下町

西に宍道湖、東に中海。

 大橋川や京橋川、堀川が街中を縦横に流れる松江は水の都。松江城や武家屋敷、古寺社が残る松平氏18万6千石の城下町である。

 7代藩主で名君にして茶人の松平治郷(不昧公)や明治23年、松江中学の英語教師として赴任したラフカディオ・ハーン(小泉八雲)に愛された風物が今も残る。

 その町めぐりに、「ぐるっと松江レイクライン」のバスで松江城へ。石垣を仰ぎつつ石段を上がると黒い下見板張りの5層の天守閣があった。築城の名手・堀尾吉晴が5年をかけた堅城で、すり減った桐の階段など古城の趣が色濃く残る。2年前の国宝指定で、入場者が2倍近くになったという。

 北の堀端には小泉八雲旧居や田部美術館、塩見家など白壁土蔵や長屋門、黒板壁が連なる武家屋敷通りがある。その一角に立つ小泉八雲記念館で、小泉セツと結婚、教師として熊本、神戸、東京と転居した小泉八雲の人と業をしのんだ。

 『怪談』をはじめ日本の文化を貪るように吸収して『知られぬ日本の面影』などで日本を世界に紹介し、自身も文名を上げた。「神国の首都」と呼びこよなく愛した松江でも好んだ一つが宍道湖。ヤマトシジミ、シロウオ、アマサギなど「宍道湖七珍」の天然の生け簀だが、茜色の夕映えの美しさでもつとに名高い。

 銘菓「若草」と「山川」を買った風流堂で、来年は不昧公200年祭と聞いたあと、「今日はいい夕焼けになります」といわれ、県立美術館前の湖畔へ駆けつけた。

 太陽はすでに山の端近くにあり、多くの人が集まっていた。ほどなく湖水や空に朱赤を広げながら嫁ヶ島をシルエットにして燃えるように染め上がった。美しい落日のショーだった。

 ホテルに向かう道すがら松江で大きく人生を変えた八雲のことを想った。冬の寒さに耐えられず1年3カ月で離れ、三つの町に転住した八雲だが、日本におけるふるさとは? と問うと迷いなく松江と答えるに違いない。  (旅行作家)

 ●松江観光協会TEL0852(27)5843

     
 
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